Slack日本法人代表が語る コロナ禍での「オンラインコミュニケーションのコツ」

Slack日本法人代表が語る コロナ禍での「オンラインコミュニケーションのコツ」

 2020年に世界中を襲ったコロナ禍は、私たちのワークスタイルに大きな変化をもたらした。

 これまでオフィスや取引先のもとへ実際に足を運び、人と相対しながらコミュニケーションするのが前提だった。

 しかしコロナ禍に見舞われて以降、外出自粛や3密(密集・密閉・密接)対策など「非対面 · 非接触」の文脈で、テレワークやリモートワークといった働き方が浸透。

 仕事を進める上でのコミュニケーションも、Web会議システムを利用した遠隔会議やチャットツールを使って行うことが多くなった。

 リアルからオンライン中心のワークスタイルへシフトする中、より生産性を高めて日々の仕事をこなしていくことが求められる時代になっていくだろう。

 そんな中、ビジネスチャットの有用性を確立し、急速にビジネスシーンで重宝されているのがチャンネルベースの企業向けメッセージプラットフォーム『Slack(スラック)』だ。

 今回は、Slack Japan株式会社日本法人代表の佐々木聖治氏に、Slackが日本で急拡大している理由や、円滑なコミュニケーションを生むためのSlack活用術について話を聞いた。(古田島大介)

日本企業の様々な“変革”の担い手としてキャリアを積む

 佐々木氏は米ワシントン大学にて国際経営学の学士号を取得したこともあり、これまで築いてきたキャリアはグローバル企業での経験が多い。

 B2B企業向けのクラウドサービスやITインフラ、ソフトウェアなどのソリューションを提供する企業で働いてきたなか、同氏は「経営者や創業者の近くで仕事に従事できたこと、そして日本企業の変革に携わってきたこと。この2つを仕事の軸として常に考えてきた」とし、今までのキャリアを振り返る。

 「直近のキャリアで見れば、米セールスフォース・ドット・コム日本法人での営業マン時代、創業者のマーク・ベニオフが来日した際には1人のビジネスパーソンとして一緒に仕事をさせてもらいました。また、現Slackの日本法人代表という立場でも、創業者であるスチュワート・バターフィールドと共に日本のお客様との面会を重ね、日本市場におけるビジネスの発展について話し合ってきた。どちらもグローバルに展開するサービスを有する企業ですが、創業者と近しい距離感を持ってビジネスに携われたことは、非常に大きな経験となっています」

 海外のITベンダー企業が提供するソリューションで、日本企業の様々な“変革”の担い手となるべく、クライアントはもちろん、販売パートナーやエンドユーザーなど多くのステークホルダーと関わってきた。

 「時代の変遷とともに、ビジネスシーンに求められる日本企業のあり方や価値観は変化してきました。2000年代にクラウド(クラウドコンピューティング)がIT業界中心に注目を集めた時期はセールスフォースで働いていたので、いわゆる“クラウド革命”を牽引し、SAP Japanでクラウド型人事管理サービスに関わっていたころは、ちょうど『組織変革』や『ダイバーシティ&インクルージョン』が脚光を浴びていました。そして、近年の『働き方改革』が推進される中で、円滑なコミュニケーション手段が求められるようになったタイミングで、ビジネス向けメッセージプラットフォームのリーディングカンパニーであるSlackの日本法人立ち上げに参画するようになったのです」

チームで成果を出すためには、円滑なコミュニケーションが必要不可欠

 佐々木氏がSlackに可能性を感じたのは、「前職のSAP Japanに人事育成や人材開発、採用管理といった『タレントマネジメント』にある種の課題感を抱いていたから」だという。

 「優秀な人材を確保したり抜擢人事や職能に応じたキャリアを提示したりするなど、タレントマネジメントは組織において重要な観点です。ただ、仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには、チームでのコミュニケーションが最も肝になってくる。コミュニケーションが疎かになれば、いくらポテンシャルやスペックがあっても、十分なバリューを発揮できない。人の発する言葉や自分以外のメンバーへの働きかけなど、組織改革をするためにはコミュニケーション部分も改革していく必要性を感じていたのです」

 Slackは前身となる企業を2009年にバターフィールド氏が創業。当時は、同氏が経営するオンラインゲーム会社の社内向けコミュニケーションツールとして2014年にリリースした。

 ゲーム開発に関わるシナリオライターやエンジニア、プロジェクトマネージャー、ゲームプロデューサーなど、あらゆるメンバー間同士の円滑なコミュニケーションや、少ないリソースゆえの効率的な生産性を生み出すことが求められていたわけである。

 「Communication is the most fundamental thing we do as human beings.(コミュニケーションは、人間として行う、最も基本的なことです)」とバターフィールド氏は言うように、仕事をする上でのコミュニケーション方法を変えれば、企業文化やビジネスプロセス、組織構造など様々な変革をもたらすことができる。

 近年ではリモートワークや働き方改革といった柔軟なワークスタイルが、日本企業に求められるようになったこともあり、Slackのようなビジネス向けメッセージプラットフォームの関心が高まった。

 こうした背景もあり、佐々木氏はSlackの日本法人を発展させるため、カントリーマネジャー(当時)に就任することになった。

“コミュニケーションのサイロ化”を防ぐSlackの有用性が支持される

 Slackは2017年11月に日本語版をローンチし、2018年6月に日本法人であるSlack Japanを設立。

 英語版しかなかった頃から、効率的で生産性を生み出せるビジネス向けメッセージプラットフォームとして認知されており、スタートアップやベンチャー、エンジニアやデザイナーといった開発組織を中心に導入が進んでいた。

 そして待望の日本語版がリリースされると、業種や企業規模問わずに様々なビジネスシーンにSlackが使われるようになった。

 「Webやインターネット企業のほか、最近では製造業、金融業、メディア、大学など多様な業種でSlackを利用していただけるようになりました。従来のメールや電話などの一方通行な情報共有では、スピーディーな社内連携ができずに生産性を落とす原因になりますし、どうしても“コミュニケーションのサイロ化”や“組織のタコツボ化”を生んでしまう。他方、Slackの『チャンネル』を使えば、情報の一元化や可視化を容易に行えるため、仕事の効率化に繋がります。また『検索機能』を使えば、日々行うコミュニケーションの応酬を“会社全体の資産”として蓄積することも可能になる。さらに、外部のアプリケーションを統合して、Slackに連携できる『インテグレーション機能』を活用することで、企業ごとにSlackをアレンジし、カスタマイズできるのも多くのビジネスパーソンに支持された要因だと考えています」

 現在グローバルに展開するSlackだが、とりわけ日本は世界2位のユーザー数を誇る。日間アクティブユーザー数(DAU)は120万人(2019年10月時点)を超え、順調に日本市場のビジネスを加速させているのだ。

遊び心溢れる言葉のフレーズが“Slackらしさ”を醸成

 また、使い勝手の良さやサクサクと進むテキストコミュニケーションのしやすさはもとより、日本市場拡大に貢献した理由にSlack特有のユニークかつ遊び心溢れるようなユーザー体験が挙げられる。

Slack内で未読メッセージを全て読んだ時に表示されるフレーズの一例

 「未読コンプリート!この調子でどんどん行っちゃいましょう!」

 「Slackは用法用量を守って正しく使いましょう」

 このようなユーザーフレンドリーで、面白みのある言葉は“Slackらしさ”を醸成し、

 口コミでサービスが広がるきっかけとなったのだ。

 「実は日本語版がリリースされる前から、米国サンフランシスコのローカライゼーションチームには、日本人社員が常駐していたんです。外資系企業が日本市場におけるローカライズを行う際、外国語の意をそのままに日本語訳をするのが一般的ですが、Slackの場合は単純に訳すのではなく、国の文化的背景や馴染みしさを盛り込んだ言い回しにして、ユーザーが親しみやすいような関係性の構築に努めています。特に日本の場合は『思いやり』と『共感』を言葉のフレーズに感じてもらえるように心がけていますね」

 ゲームのような楽しさを演出することで、Slackのファンになってもらう
そのほかにも、メッセージに絵文字を使ってリアクションができる「絵文字リアクション」や、自分オリジナルの絵文字を生成できる「カスタム絵文字」、メンションが飛んできた際の「スッコココ」という独特の通知音など、Slackらしさを連想させる工夫は随所に見られる。

 さながらゲームのような楽しさや粋な演出を紐解く鍵は、Slackの掲げるコアバリューにあるという。

Slackの6つのコアバリュー

 「Slackのコアバリューはそれぞれ、『Empathy(共感)』『Craftsmanship(匠の精神)』『Courtesy(思いやり)』『Playfulness(遊び心)』『Thriving(向上心)』『Solidarity(チームワーク)』の6つがあり、これらが“Slackぽさ”を体現するのに重要な価値観になっています。Slackのファンになってもらい、心地よく使ってもらうことで、『人に言いたくなる』ようなプロダクトを意識してきたからこそ、多くのユーザーに支持されてきたと考えています」

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