お菓子の袋やチラシを超絶クオリティの衣装にーーバズってブレイクした衣装デザイナー・塩川夏子が語る「第二のステージ」

衣装デザイナー・塩川夏子が語る第二のステージ

 2024年、XやTikTokを中心にバズを起こし続けている衣装デザイナー・塩川夏子。彼女は、鏡、お菓子の袋、チラシ、アルミシート……普通なら洋服作りに絶対使わないような素材を、驚くほどクオリティの高い衣装へと変身させてしまう。

 もともとは生粋のアイドル衣装デザイナーだった彼女。だが、いまは自ら表現の幅を大きく広げようとしている。

 今回は、そんな話題の彼女にインタビュー。発想の根源と、SNSとの向き合い方。そしていま描いている未来について聞いた。

「組織が合わない…」思い悩んだ駆け出し時代

ーー今回は取材ということで、塩川さんの作品を2着お持ちいただきました。生で見ると、すごい迫力ですね……!

『じゃがりこの服』

塩川夏子(以下、塩川):ありがとうございます。このじゃがりこの服は、アイドルっぽい可愛いイメージで仕上げました。じゃがりこのパッケージの黄色をベースに、赤と緑を入れて全体の色合いを調整しています。交流のあるインフルエンサーのこがちゃんちゃんという方がいるのですが、彼女はじゃがりこが大好きなんです。それがきっかけで、「今度じゃがりこの服作ってみるね!」というノリで作りました(笑)。

こがちゃんちゃん

塩川:最初はじゃがりこのカップを使って作ろうと思ったのですが、失敗してしまって……。個包装の袋を使って作りました。“じゃがりこの日”に、じゃがりこさんがXの公式アカウントでリツイートしてくださって、反響もあり嬉しかったです。

『グミの服』

ーーこちらの衣装は、グミの袋でできているのですか?

塩川:そうです! 9月3日の“グミの日”に合わせて作りました。色合いを見ながらバーっとグミを買って作ったんですけど、全然袋が足りなくて(笑)。実験的に作っている衣装はけっこう行き当たりばったりで、トラブルもありつつどうにか作っています(笑)。

衣装を作りながら、衣装デザイナーになるまでの経歴を話してみた

ーー塩川さんがデザイナーになったきっかけについて教えてください。

塩川:最初は服飾の学校に通っていました。卒業後は事務職をして、その後はアニメグッズの制作会社に転職して働いてました。

ーー以前は会社員だったんですね。

塩川:4年ほど会社員でした。でも服作りは好きだったので、会社で働きながら、趣味でずっと作り続けていましたね。

ーー現在は、フリーランスの衣装デザイナーとして活動していますよね。

塩川:はい。制作会社でグッズの企画を出す仕事も好きだったのですが、私の出すアイデアやデザインは少し個性的なものや挑戦的なものが多かったみたいで……なかなか企画が通らなかったんです(笑)。次第に、もっと自分のやりたいことをしたいと思うようになって、会社を退職しました。

ーー衣装デザインの会社に入る、という選択肢はなかったのでしょうか?

塩川:私、団体行動がすごく苦手なんです(笑)。働いていた制作会社はすごく好きだったんですけど、組織である以上、自分でできる行動にはある程度制限があるじゃないですか。
ひとりで自由にやっていた方が私には合っているのかな……と思って、転職ではなく、フリーランスでチャレンジすることに決めたんです。

ーー仕事が軌道にのるまでは、大変だったのではないですか?

塩川:大変でした。会社を退職したのが2020年の頭だったんですけど、ちょうどコロナ禍になってしまって。アイドルの運営に営業をしたとしても、そもそもライブができない状態なので、「新しい衣装どころじゃない」という感じで。でも服は作り続けないと技術も上がらないし、実績の証明もできないので、退職金をやりくりして服を作って、営業をする日々でした。最初の1年は焦りもありとにかく必死で、あまり記憶がないですね(笑)。

ーーちょうど大変な時期が、独り立ちと重なったんですね。

塩川:そうですね。そこからちょっとずつお仕事をもらえるようになったのですが、やはりどこか不安があって、2021年〜2022年は先々までスケジュールを埋めていたんです。でも途中ですごくやりたいお仕事の依頼が来たときは、泣く泣く断ることもありました。柔軟に動きたいけど、仕事が途切れるかもしれない……という不安で葛藤していましたね。 

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