Nintendo Switch 2の発表タイトルに見た「ある特徴」 “移植作ばかりのローンチ”がもたらす意外な好影響とは

任天堂は4月2日、『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』を配信し、Nintendo Switchの後継機・Nintendo Switch 2で発売予定のタイトルを紹介した。
本稿では、発表されたラインアップのなかから、サードパーティー製のタイトルへとフォーカス。見え隠れする特徴と、その背景、意図などを考察する。
来年にかけては注目作が目白押しの展開に。他社製タイトルに見られた“ある特徴”とは
『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』では、名だたる世界中のソフトウェアメーカーから数々のタイトルが発表された。フロム・ソフトウェアの『ELDEN RING Tarnished Edition』や、カプコンの『ストリートファイター6 Years 1-2 ファイターズエディション』、エレクトロニック・アーツの『スプリット・フィクション』、WB Gamesの『ホグワーツ・レガシー』、セガの『龍が如く0 誓いの場所 Director's Cut』、コーエーテクモゲームスの『ゼルダ無双 封印戦記』、テイクツー・インタラクティブの『ボーダーランズ4』、KONAMIの『シャインポスト Be Your アイドル!』、CD PROJEKTの『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』、スクウェア・エニックスの『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』など、その例は枚挙にいとまがない。
うち、フロム・ソフトウェアとスクウェア・エニックスについては、新規IPとなるマルチプレイアクション『The Duskbloods』や、2012年発売の人気RPGを復刻した『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』も話題を呼んだ。紹介したタイトルのすべてがNintendo Switch 2のローンチ日である6月5日にリリースされるわけではないが、少なくとも来年にかけて、同機では注目作が目白押しとなることが見えてきた形だ。また、これから日を追うごとに、上記以外のメーカーからも専用のタイトルが発表されていくのだろう。界隈は「数年に一度の新ハードのリリース」を前に、祭りの様相を呈しつつある。
他方、その顔ぶれには“ある特徴”も見出だせた。それは「発表されたタイトルの多くが、すでにPlayStation 5やXbox Series X|S、PCといった競合のプラットフォームでリリース済みである」というものだ。なかにはほかで未発売の新作の名もあったが、その数は決して多くない。同時に発表された任天堂によるファーストパーティタイトルたちを除くと、数えるほどであると言っても差し支えないだろう。
ここには「他のプラットフォームとNintendo Switchをめぐる市場的な背景」が影響していると考えられる。これまで同機は「性能のみに偏重しない、手に取りやすさと遊びの本質を追求したミドルエンド」として市場に存在感を示してきた。しかし、PlayStation 5やXbox Series X|Sのリリースと浸透、PCプラットフォームの台頭以降は、こうした立ち位置の違いがネガティブに影響し、特にAAA作品において、複数のプラットフォームを所有するフリークのファーストチョイスにはなれていなかった面がある。だからこそ、任天堂や各メーカーは、その後継機であり、待望のスペックアップを盛り込んだNintendo Switch 2のローンチにあわせ、これまで叶わなかった作品たちの移植を実現させたのではないだろうか。もしかすると、一部にはそうした傾向に“ある種の残念さ”を感じてしまったフリークもいたのかもしれない。『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』におけるNintendo Switch 2専用タイトルの発表は、それほどまでに特徴的なものだった。
人気作のNintendo Switch 2への移植は、マーケット拡大の契機となるか
反面、サードパーティーからの専用タイトルの大半が移植作となったことには、ポジティブな面もある。それは「他のハードを所有していない層にも、そうしたタイトルたちの門戸が広げられた」という点だ。
昨今、PCを含めたゲーム機は高額化の一途をたどっており、誰もが気軽に購入できるハードウェアではなくなりつつある。今回の発表にあわせて公開されたNintendo Switch 2の価格においては、「想像よりも安い」との称賛が集まると同時に、一方では「高すぎて手が出せない」と戸惑いの声が上がっている実状もある。ここには「コア層とライト層のあいだで、ゲーム機に支払える金額に差が生まれていること」も影響しているのだろう。どちらかといえば後者、特にファミリー層に受け入れられてきたNintendo Switchであるだけに、ゲーム機の高額化は、後継機のローンチにおいて直面してきた、もしくは現在進行形で直面している課題であるとも言える。
当然ながら、そうした層はより高額な傾向にある他のハードを所有しているケースが珍しく、「子どもが使うことを前提にNintendo Switchのみを持っているけれども、自身は競合で展開されているAAAタイトルをプレイしたい気持ちがある」という想いをユーザーが抱えている例も少なくない。実際に私が過去に執筆した記事に対するSNS上の反応のなかには、「AAAタイトルの展開がNintendo Switch 2の購入へと動く決め手になった」という旨の声もあった。彼らにとっては、移植作が大半となった今回の発表も、訴求のひとつとして前向きに響いたのかもしれない。
また、ソフトウェアメーカーの視点に立つと、任天堂のプラットフォームのみが持つ市場の大きさが魅力的に映った面もあるだろう。だからこそ、「目先での販売本数が見込みにくいローンチ期に、小さくないコストをかけてでも看板作品を移植する」という判断へと至ったのではないだろうか。「Nintendo Switchのみを所有する」「Nintendo Switchを含む任天堂ハードのみを複数所有する」「現行機を1台も所有していないが、Nintendo Switch 2の購入を考えている」など、見込み顧客と考えられる層を合算すれば、かなりの数になると試算できる。このような面において、任天堂と各ソフトウェアメーカーの利害が一致したからこそ、ローンチ期の専用タイトルでは移植作が多めとなった可能性がある。
くわえ、未プレイ層が新たにAAAタイトルに触れることで、それらのマーケット、さらにはゲーム市場全体が拡大していくという見方もあるだろう。価格や販売本数といった売上に直結する単位あたりで考えると、AAAタイトルが市場に持つ影響力は相対的に大きいと言える。ほかとは異なる顧客層を持つ任天堂から、より選択肢のひろがる後継機がローンチされることにより、このようにこれまで開拓されていなかった層にアプローチが可能となるならば、それもまた、Nintendo Switch 2がリリースされることの大きな意義となっていくのではないだろうか。
Nintendo Switch 2の発売までは、あと1か月半ほど。今後は公式ストアに続き、各小売店、ネットストアなどでも予約受付がスタートするはずだ。同機は発表以前からの注目度に違わない成功をおさめられるだろうか。発売後の動向から目が離せない。























