「写ルンです」はなぜ再び流行した? スマホ世代が写真に“一手間”をかける理由

「写ルンです」はなぜ再び流行した?

 近年、若い女性の間で人気になっている「写ルンです」。スマートフォンで写真を撮るのが一般的だが、レトロな質感で、撮ってすぐに写真を見られないことによる一手間というポイントが、逆にうけているようだ。本記事では「写ルンです」の魅力を再考する。

 1986年に発売が開始された「写ルンです」。2012年に大幅な生産縮小が行われ、現在は「シンプルエース」の1タイプのみが販売されている。しかし、2017年ごろからフィルム写真が再び注目された。その要因は「エモい」「彼女感」という二つのワードの流行によるものだと推測される。

 まず、「エモい」という言葉が流行し始めたのは2018年である。この年、10代女子の流行語ランキングで「エモい」は一位になった。この「エモい」を演出するためのコンテンツがノスタルジックな写真が撮れるフィルムであった。そのため、写ルンですが再び流行し、「Huji Cam」「DAZZ」などフィルム風の写真が撮れるアプリも多数リリースされた。

 また、先日「写ルンです」を持った白石麻衣の彼女感動画が話題になったように、フィルム×自然体が「彼女感」を演出できると評価されることも多い。10月に乃木坂46を卒業した白石の卒業記念本『白石麻衣 乃木坂46卒業記念メモリアルマガジン』は「オリコン年間BOOKランキング 2020」のジャンル別「タレント本」6位にもランクインする大ヒット。付録として32ページのオフショット写真集が封入された。このオフショット写真集で撮影した機材は全て写ルンです。写ルンですならではのエモさと自然体の白石が楽しめ、「彼女感がすごい」や「元カノ感すらある」と話題になっていた。

 しかし、スマホが普及たことにより“写ルンです風”に加工できるフィルターなどは数多く存在し、本物のフィルムでなくとも手軽に楽しむ程度であればことは足りる。ではなぜわざわざ「写ルンです」で撮影するのか。この要因として写真の枚数が限られている緊張感や、現像するまで何が写っているか分からず、撮った後すぐに確認できないワクワク感が魅力だと語られることが多い。どちらにせよ一手間である。しかし、この一手間が感動体験を生んでいるのではないかと推測される。

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