Netflix『13の理由』自殺シーン削除の理由 制作サイドのコメントも
Netflixがドラマ『13の理由(13 Reasons Why)』シーズン1最終話において、物議を醸した自殺シーンをカットしたことが分かった。同社は、出回る海賊版クリップについてもモニターし、公開を止めるように働きかけるという。
苦しみ悶える3分間の自殺シーン、2年越しで編集の理由
なぜ、同シーンを配信から2年経ったいま、再編集することになったのだろうか。Netflixは声明で「『13の理由』は、うつ病や自殺といった難しい問題の議論を促したという多くの意見があります。シーズン3の準備を進める上で、沸き起こっている議論に留意しています。アメリカ自殺防止の医療責任者クリスティーン・モウティア医師ら専門家の助言で、制作を担当したブライアン・ヨーキー氏やプロデューサーが、シーズン1の自殺シーンを編集することを決めました」と述べている(参考:https://twitter.com/13ReasonsWhy/status/1150987775820218369?s=20)。
なお、同シリーズはシーズン2の冒頭にて、注意を喚起するビデオを挿入していたが、今回さらに一歩踏み込んだ措置を行うに至った。問題のカットでは、人気急上昇中の女優キャサリン・ラングフォード演じるハンナ・ベイカーが鏡を見つめ、バスタブの中で泣きながら自害。苦しみ悶える姿が約3分間に渡りリアルに映し出されていた。The Hollywood Reporterはこのシーンについて「カミソリで自殺するシーンをここまでつぶさに描くのは、非常に稀だ」としている(参考:https://www.hollywoodreporter.com/live-feed/netflix-alters-graphic-13-reasons-why-suicide-scene-controversy-1224489)。
なお、差し替えられた新たなシーンでは、ハンナは鏡を見つめ、その後にハンナを発見した親にカメラが向くという構成に変わっている。
原作を忠実に再現、醜い行為を伝えるも裏目か
『13の理由』は、2007年にベストセラーとなった同タイトルのジェイ・アッシャー著のヤングアダルト小説を基に製作された。「13の理由」とは自殺の理由であり、本作の大きなテーマとなっている。
迫真の自殺シーンは、ある意味では、原作の忠実な再現だったといえる。しかしドラマチックに描くことで、視聴者が、自ら命を断つことを美化して捉えてしまった面は否めないかもしれない。
製作総指揮・脚本のブライアン・ヨーキーは「原作の著書に対して、若い視聴者が共感してもらえるようなテレビショーになるように願っていました。制作した際の意図は、苦痛にまみれた自殺の実態を描くことでした。誰も模倣しないようにとの思いから、このような行為の恐ろしさを詳細に伝えたつもりでした。しかし、シーズン3のローンチの準備を進める際に、懸念の声がありました。編集することで、とりわけ若くて繊細な視聴者に対するリスクを抑えることができると考えています」とコメントを出している(参考:https://twitter.com/13ReasonsWhy/status/1150987786243018752?s=20)。