令和ロマン・ケムリ、YouTubeで魅せる“くるま”漫才 単独の立ち回りで新たなステージに

ケムリ、YouTubeで魅せる“くるま”漫才

 YouTubeチャンネル『Official令和ロマン【公式】』が新たなフェーズを迎えている。先日、ボケ担当である高比良くるまが長期の活動自粛を発表し、一人での活動を余儀なくされたツッコミ担当の松井ケムリ。

 その一本目の動画がとても素晴らしいものだった。彼の地元である神奈川県横浜市青葉区にある「たまプラーザ駅」の周辺を巡る企画『松井ケムリ、故郷に変える』。

【原点】松井ケムリ、故郷に帰る。 【令和ロマン】

 ケムリが自らの青春時代の思い出の場所を10年ぶりに散策するという、企画自体はとてもシンプルなものなのだ。しかし、田園都市でもある「青葉区」の景観は、多くの人が漠然と想像する「故郷の風景」に最も近い場所なのではないだろうか。決して派手さはないが、心の奥底をじんわりと暖めてくれる「温もり」のようなものを感じさせる。通学路、小学校、塾、商店の跡地、公園、自販機。そんな町並みと共にケムリの思い出がぽつぽつと語られる。

 昔はペットショップだった東進ハイスクール。芋のような形をしている建物「おいもさん」。小学校時代ケムリが仲良しだった「ぶんしょうくん」。夏休みの行事「夕涼み会」、小学生と遊ぶ怖いおじさん「城田くん」、「ピロティ」と呼ばれる謎のスペース、壁紙をちっちゃく破って怒られた塾、卓球クラブで使っていた卓球台、ちっちゃいゲンゴロウがいる中庭の噴水、スケボーで転んだ体中を擦りむいた坂、ランドセルに引っかけた給食係の白衣の袋を落としたトンネル前。その袋を教室についてから指摘してくる意地悪な同級生の女子。音が鳴る建付けが悪い排水路のコンクリート。遊戯王カードが隙間に落ちる木のベンチ。ベイブレードの遊びにベーゴマで参加していた広場。上級生の綺麗な泥だんごを作る遊びに参加させてもらえなかったこと。相変わらずおいしくない公園の水。友達の「しゅうくん」のベイブレードを目の前で盗んだ「関なんとかくん」。ウロボロス交尾中だった2匹のトカゲ。ケムリの家を窓から覗き見していた強すぎる同級生の女子。1年間浪人していた河合塾、漫画『軍鶏』全巻を立ち読みしたブックオフ。平成フラミンゴがアルバイトをしていたというラーメン魂心家……。

 嘘も、誇張もない。松井ケムリというただ一人の人間がそこで「生活」をしていた記憶のエピソードの数々はまさに「人生」。誰もが自分の青春時代と重ね合わせることができることだろう。

 「こんな街だったなぁ。かなり自分を見つめ直せた気がします。自分のルーツに触れることができて。この先どうするかも見えてくるような気がするな。こんなのどかな場所で育ったんだから、のどかでいたほうが良いような気もするな」

 最後に燦々と照りつける夕日を眺めながらそう語るケムリの姿は色々な感情を思い起こさせる。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる