ライアン・レイノルズとケネス・ブラナーが“異色バディ”に 『メーデー』でみせた化学反応

リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ライアン・レイノルズよりもライアン・ゴズリング派の宮川がApple Original Films『メーデー』をプッシュします。
Apple Original Films『メーデー』
『白鳥とコウモリ』『バックルームズ』『スワロウテイル 4Kリマスター』など話題作がひしめく9月4日週公開の新作映画。劇場公開作と並び見逃せない存在感を放っているのが、9月4日よりApple TVで配信開始となったApple Original Films『メーデー』だ。
監督を務めたのは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちのプラウド』や『お!バカんす家族』などで、巧みな会話劇とアクション、そして洗練されたコメディセンスを披露してきたジョン・フランシス・デイリー&ジョナサン・ゴールドスタインのゴールデンコンコンビ。映画の魅力を支えているのは、主演を務めるライアン・レイノルズとケネス・ブラナーという、一見すると異色とも思えるバディの組み合わせだ。
『デッドプール』シリーズをはじめ、メタ的なユーモアと軽妙なトークスキルで自身のパブリックイメージを確立してきたレイノルズ。一方で、シェイクスピア劇の巨匠であり、近年ではエルキュール・ポアロ役など重厚な名演を見せるブラナー。対極に位置するような2人の俳優が、冷戦期のサスペンスアクションという古典的な枠組みの中でどのような化学反応を起こすかが、本作の最大の提示となっている。
劇中で描かれるのは、冷戦時代を舞台にした極秘ミッション。レイノルズ演じる軽薄さと抜け目なさを兼ね備えたアメリカ空軍パイロットのトロイと、ブラナー演じる規律と威厳を重んじる元KGBエージェントのニコライという、正反対の属性を持つ2人がタッグを組み、予期せぬトラブルに巻き込まれていく過程を描く。
フランシス・デイリーとゴールドスタインの手腕は、本作でも遺憾なく発揮されている。アクションのスケール感で押し切るのではなく、テンポの良い会話劇と緻密に計算されたシチュエーションコメディの要素を巧みに配置。80年代・90年代のバディアクション映画が持っていた楽しさを踏襲しつつ、現代的なテンポ感とApple作品らしいソリッドな映像美でアップデートしている。劇中でも言及があるように、トム・クルーズ主演映画『トップガン』が下敷きになっているのも映画ファンとしては楽しい要素のひとつだ。
また、配信作品というフォーマットとの相性の良さも指摘しておきたい。これまで『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』や『ナポレオン』のように巨匠による重厚な劇場規模の大作を手がける一方で、『テトリス』や『ファミリー・プラン』などリビングで気軽に楽しめるようなエンターテインメント作品も展開してきたApple Original Films。本作『メーデー』はまさに後者の筆頭と言える完成度であり、過度に肩肘を張らずに楽しめる娯楽作として着地している(大きなスクリーンで観たいという気持ちももちろんあるが……)。
従来の作品に見られる“いつものライアン・レイノルズ節”に対する既視感を覚える観客も一部にはいるかもしれない。しかし、そこにブラナーという重厚な対立軸を置くことによって、単なるセルフパロディに終わらせない映画的な奥行きを獲得している点は見事だ。質の高いアイデアとキャストの確かな芝居が噛み合った良質なエンターテインメントとして、ぜひチェックしてほしい一作だ。
■配信情報
Apple Original Films『メーデー』
Apple TVにて配信中
出演:ライアン・レイノルズ、ケネス・ブラナー
監督:ジョン・フランシス・デイリー、ジョナサン・ゴールドスタイン
画像提供:Apple TV























