『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』は令和の社会不安を先取りしていた 排除された人々の匿名性

最新映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の公開を記念して、『踊る大捜査線』(以下、『踊る』)シリーズの劇場映画がフジテレビ系で放送されている。8月22日には『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(以下、『踊る2』)が放送される。
2003年、空地だらけだったお台場にはビルが立ち並び、休日には多くの客が押し寄せる一大観光スポットへと変貌していた。
3連休初日、青島俊作(織田裕二)たち湾岸署の刑事は、家族によるスリ事件と女性を狙った噛みつき通り魔事件の対応に追われていた。
同じ頃、管内で会社役員の他殺体が発見され、湾岸署に特別捜査本部が設置され、管理官の室井慎次(柳葉敏郎)とともに現れた女性管理官の沖田仁美(真矢ミキ)が捜査本部長として指揮をとることになる。

1997年に放送された『踊る』(フジテレビ系)は、これまでにない刑事ドラマとして熱狂的なファンを獲得し、翌1998年には劇場映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』が公開され、興行収入101億円の大ヒットとなった。
そして、2003年に作られた『踊る2』は国内実写映画歴代興行収入1位となる173.5億円を記録。この記録は2025年に映画『国宝』に抜かれるまで、22年間破られることがなかった。
令和の現在、改めて『踊る2』を観て思うのは、本作が大ヒットしたのは、これから訪れる時代の不安を先取りしていたからではないかと感じる。
劇中では、警視庁捜査一課が追う会社役員殺害事件と、青島たちが追っていた家族によるスリ事件と噛みつき事件の捜査が同時進行で進んでいく。
会社役員殺人事件では刑事と犯人の駆け引きだけでなく、本庁と所轄という警察組織内の衝突も描かれる。『踊る』の面白さは刑事と犯人の対決だけでなく警察官僚のエリートと所轄の刑事の衝突という上下の闘いが描かれていることだが、これまでは男性だった管理官が女性だというのが、新しい要素だろう。
他にも神田署長(北村総一朗)の不倫疑惑など、劇中では様々な物語が同時進行で展開し、そこに複数の人々が関わっている。お台場を訪れる観光客も含め、人がたくさん画面に映っているというのが本作の第一印象だが、数分単位で新しい展開が起こるため、とにかく観ていて飽きない。

この無数の人々が交差する物語が同時展開する本作を象徴しているのが、お台場に設置された無数の監視カメラだ。
青島と恩田すみれ(深津絵里)は、警視庁が湾岸署管内に極秘で設置した監視カメラシステムのモニター室に案内され、犯人らしき人物がいないか監視することになるのだが、無数の監視映像が同時に並んでいる様子は『踊る2』の世界観を象徴している。
この監視カメラの映像は、膨大な情報と映像に触れることになったネット普及以降の映像環境と完全にリンクしているのだが、SNSが社会に普及した令和の現在の視点で観ると、特にそう感じる。
そして、この無数の監視カメラの映像が面白いのは、撮影者の意図が存在しない「匿名性」の高い映像だということだ。
この「匿名性」は、本作の重要なモチーフとなっている。




















