窪田正孝だから成立した『ブルーロック』絵心甚八 “温度を変えずに圧倒する”芝居の凄み

窪田正孝がいたから成立した『ブルーロック』

 一方で、そのキャリアを振り返ると、漫画原作の実写化とも縁が深い。『デスノート』(2015年)の夜神月、『東京喰種 トーキョーグール』(2017年)の金木研。さらに漫画原作ではないものの、『Diner ダイナー』(2019年)のスキンも印象深い。作品も人物像も大きく異なるが、窪田はこれまでも“狂気”を宿した人物を鮮烈に演じてきた。

『東京喰種 トーキョーグール【S】』©2019「東京喰種【S】」製作委員会 ©石田スイ/集英社

 『デスノート』の夜神月では、自らの正義を肥大させながら、新世界の神へと突き進んでいく青年の危うさを表現。『東京喰種 トーキョーグール』の金木研では、人間としての心を残しながら喰種の身体を抱える苦しみを、表情だけでなく全身を使って見せた。『Diner ダイナー』のスキンでは、全身の傷跡と殺し屋という鮮烈なビジュアルをまといながら、その奥にある繊細さまで印象に残した。

 そうした役々で窪田が巧みに使い分けてきたのが、“静”と“動”だ。とりわけ月、金木、スキンでは、感情が大きく揺れる瞬間に、表情や声、身体まで振り切るような“動”の芝居が強烈な印象を残してきた。一方で、その前後にある視線やわずかな表情の変化によって、人物の内側に潜む危うさや執着もにじませる。窪田が演じる“狂気”の面白さは、そうした振れ幅を使いながら、役ごとにまったく異なる表情を見せてきたことにあるように思う。

『ブルーロック』©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS

 対して、絵心で際立つのは“静”の芝居だ。世界一のストライカーを生み出すという揺るぎない確信を胸に、ほとんど温度を変えないまま周囲を圧倒していく。その静かな狂気が、絵心という人物をいっそう鮮烈に見せているのではないだろうか。

 個性的な選手たちがぶつかり合う『ブルーロック』において、そのすべての始まりに立つ絵心甚八。彼の言葉に煽られるように、潔たちはそれまでの価値観を壊し、自分だけのエゴを探し始める。300人の“才能の原石”から、どんな武器が飛び出してくるのか。そして、その中心に立つ窪田の絵心が、この先どんな顔を見せるのか。どちらにも、まだまだ期待せずにはいられない。

参照 
※ https://bluelock-movie.jp/

■公開情報
『ブルーロック』
全国公開中
出演:高橋文哉、櫻井海音、高橋恭平、綱啓永、野村康太、K(&TEAM)、青木柚、西垣匠、富本惣昭、倉悠貴、東啓介、畑芽育、窪田正孝
監督:瀧悠輔
脚本:鎌田哲生
原作:金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社『週刊少年マガジン』連載)
主題歌:Ado「モンストロ」(Capitol Records/ユニバーサル ミュージック)
制作:CREDEUS
製作:CK WORKS
配給:東宝
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS
公式サイト:BLUELOCK-MOVIE.JP
公式X(旧Twitter):BLUELOCK_MOVIE

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