『キングダム』万極がシリーズ屈指の敵となった理由 山田裕貴が体現した怨念と復讐心

『キングダム』“万極”山田裕貴の怪演に脱帽

 事実、最近の出演作を振り返ってみると、幕末の京都を舞台にした活劇『ちるらん 新撰組鎮魂歌』にしろ、車いすラグビーに打ち込む人々の姿を描いた『GIFT』(TBS系)にしろ、山田が演じていたのはアツさを持ったキャラクターだ。

『爆弾』©呉勝浩/講談社 ©2025映画『爆弾』製作委員会

 さらに出演作をさかのぼってみよう。大河ドラマ『どうする家康』(2023年/NHK総合)で演じていた本多忠勝も、『東京リベンジャーズ』シリーズで演じていたドラケンも、『HiGH&LOW』シリーズの村山良樹も、みんなそれぞれにアツさを持った存在だった。山田の新たな代表作のひとつとなった『爆弾』(2025年)での演技に触れれば、彼が性格俳優であることも分かるだろう。しかしいくつかの出演作を並べてみると、やはり真っ先に浮かび上がり、強く印象に残るのは、山田が体現する“アツさ”なのだ。

 いっぽう万極は、ほかの者たちのような生命力が感じられないキャラクター。だからもちろん彼に対して、誰もアツさを感じはしないだろう。しかしこの人物の内面にはマグマがたぎっているのだと、信が対峙したときに分かる。さまざまな作品で山田が体現してきたあの熱は、ここでは異なる質感と大きさを持って表れているのだ。

『キングダム 魂の決戦』©︎原泰久/集英社 ©︎2026映画「キングダム」製作委員会

 本作は大人気青年マンガを原作としたもの。いくら冷酷無比な敵キャラクターであっても、いや、そんなキャラクターだからこそ、登場すれば私たちは胸の高鳴りを抑えられない。しかし、万極に関してはどうだろうか。彼の姿がスクリーンに映った瞬間、その一瞬だけはたしかに気持ちが昂る。けれどもその直後には、どうしたって複雑な、苦しい感情が込み上げてくる。

 先に述べているとおり、万極は大虐殺を生き延びた存在だ。『キングダム』はフィクショナルな作品だが、彼が体験したことは、私たちが命をつないできたこの歴史の中で、たびたび繰り返されてきた出来事と重ねずにはいられないだろう。万極は象徴的な存在ではあるが、決して記号的なものではない。あなたは今作のクライマックスに収められた“万極=山田裕貴”の叫びとまなざしに、何を思い、何を受け取るだろうか。

 山田の抑えた演技が、それでも溢れ出すその想いが、本作に深みをもたらしている。

■公開情報
『キングダム 魂の決戦』
全国公開中
出演:山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、志尊淳、神尾楓珠、結木滉星、三吉彩花、三山凌輝、山下美月、蒔田彩珠、山田裕貴、坂口憲二、豊川悦司、髙嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、一ノ瀬ワタル、佐久間由衣、勝矢、坂東彌十郎、橋本さとし、笹野高史、谷田歩、中村蒼、田中圭、斎藤工、玉木宏、佐藤浩市、小栗旬
原作:原泰久『キングダム』(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、原泰久
音楽:やまだ豊
主題歌:米津玄師「夜鷹」(Sony Music Labels Inc.)
配給:東宝
©︎原泰久/集英社 ©︎2026映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:https://kingdom-the-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/kingdomthemovie
公式Instagram:https://www.instagram.com/kingdom_movie/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@kingdom_movie

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