『スパイダーマン:BND』のテーマは“若者が直面する現実”? トム・ホランドらが語る

7月31日に日米同時公開される映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のキャストと製作陣によるオンライン会見が現地時間7月17日に開催された。主演のトム・ホランドをはじめ、ゼンデイヤ、セイディー・シンク、ジェイコブ・バタロン、ジョン・バーンサル、さらに監督を務めたデスティン・ダニエル・クレットン、プロデューサーのケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカルが参加。ネタバレを避けながら、映画を観た感想や作品のテーマ、“挑戦”などについて余すことなく語った。
トム・ホランドらが讃える、デスティン・ダニエル・クレットンの手腕

本作の感想を求められた際、真っ先に主演のホランドが言及したのは、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でMCUに初参加し、今作で初めて『スパイダーマン』シリーズの監督を務めたクレットンだった。
「(感想として)デスティンが見事にやってのけた、というのはみんな同意見だと思います。僕たちはデスティンを“船長”として迎えられて本当に幸運だったと思う。彼がこのプロジェクトに参加したとき、映画は100通りの方向に進もうとしていました。でも僕たちに必要だったのは、誰かが来て、ひとつのアイデアに向かって全員を集中させてくれることでした」
さらに、「彼のすごいところは、 “ひとりぼっちの若者の人生はどんなものか”というひとつのテーマに集中しながら、それを映画全体の核として描けること。これは世界中の人が向き合う問題でもある。しかも、そのテーマを描くためにアクションを犠牲にすることも、映画のスケールを小さくすることもない。だから、もしデスティンがいなかったら、この映画は今の半分の力も出せていなかったと思います」と彼の手腕を讃えた。

対して、クレットン監督は本作のタイトルに込められた想いについて語る。
「『ブランド・ニュー・デイ/Brand New Day(新しい一日)』という言葉は、映画の冒頭では、ピーターがまだ学びきれていないものであり、彼が心の奥底でずっと望んでいる感情を表しています。そして映画の旅路の中で、ピーターだけでなく、他の多くのキャラクターたちも“新しい一日”――つまり新しいスタートを感じ取る瞬間に出会うことになります」
傑作の後、ゆえの“挑戦”
本作は、シリーズの中でも高い人気と評価を獲得した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の続編。世界的な大成功を収めた映画に続く作品として、どんな“挑戦”があったのか、プロデューサーのパスカルは以下のように語った。
「ええ、あの映画(『ノー・ウェイ・ホーム』)の終わりで、私たちは自分たちをとても難しい状況に置いたんです。それまでの作品は、周囲の人々が“スパイダーマンの正体を知ってしまう”ことで、ピーターの人生が通常のスパイダーマンとは違うものになっていく、という物語でした。だから私たちは、あえてもっと難しい状況にピーターを戻すことにしたんです。彼が何者なのか誰も知らない状態へ。それこそが、常にスパイダーマンが抱えるジレンマですから。そして、3人のスパイダーマンが登場する映画を作った後だと、もっと巨大な映画を作りたくなる傾向があるでしょう? しかし、私たちはもっと“小さな”映画を作ることに決めたんです。 誰かの“個人的な人生”についての物語。 ピーター自身の物語であり、すべてが彼から生まれる映画にすることが目的でした。『スパイダーマン』の映画ではいつもそれを心がけているけれど、今回は本当にそれが成功したと思います。それに、デスティンはケヴィン(・ファイギ)が紹介してくれた“贈り物”のような存在でした」

クレットンの監督起用について、ファイギはこう付け加える。
「彼は『シャン・チー』で本当に素晴らしい仕事をしてくれましたし、あの作品は私たちにとっても最高の経験だったんです。そういう人材に出会ったら……ここにいる多くの人たちもそうですが、私たちは手放したくない。一緒に仕事を続けたいし、これからも関わってほしいと思うんです。そしてデスティンとはまさにそういう関係を築いていました。彼は私たちのために『ワンダーマン』という素晴らしいドラマシリーズも手がけてくれましたが、あれも素晴らしいショーなんです。そして彼は、私たちのために他にもいくつかの映画を進めていましたが、このプロジェクトが動き出したときに『もしかしたらこれが最適かもしれない』と気づいたんです。そこで私はトムとエイミーに、彼(デスティン)と会ってみることを提案しました。そしてそのミーティングが本当に、本当に、本当にうまくいったんです」
ピーター・パーカーが体現する本作のテーマ

今作の始まりでは、「ピーター・パーカーの人生において最も暗い章の始まりに直面することになる」と語るホランド。
「僕がこの映画で最も気に入っているのは、コミュニティを持たず、友人もおらず、孤独に生きることの危うさを描いた“警告の物語”になっているところなんです。そしてピーターが前作でアンドリュー(・ガーフィールド)のスパイダーマンから学んだ教訓のひとつは、“時には、助けを求めることこそが一番勇気のいる行動だ”ということなんです。でも今のピーターは、そのアドバイスを意図的に無視していて、それが彼の“人間としての人生”に深刻な影響を与えている。一方で、スパイダーマンとしての彼は絶好調なんです。この映画の冒頭では、ニューヨークにとっての“スパイダーマンの本来の姿”が最も正直に描かれていると思います」
さらに、本作がはらむ現代的なテーマについて深掘りした。
「世界の舞台で輝き、驚くような活躍をしている一方で、家に帰れば薄汚れたニューヨークのアパートで頭痛を抱えながら眠りにつく。特に、ネッドとMJの様子をInstagramで見ているシーンなんて、そのギャップがすごく効いているんですよ。これは、若い人たちが毎日直面している現実そのものです。だから僕は、この新しいテーマに深く入り込むことができました。とても身近で、今の世界で起きていることと強く結びついていると感じたから。そして、このスケールの映画でありながら、若い人たちの心に確実に響く物語を語れることが、本当に嬉しいです」

一方、本作のMJはネッドと共に充実した人生を送りながらも、同時にうっすらと“何かが欠けている気がする”感覚を持っていることについて、ゼンデイヤが言及した。
「ピーターがいない状態で彼らの人生がどうなっていたのかを探っていくのは、面白かったです。だって、私たちにとってはピーターは“存在しなかった”わけですから。でも明らかに、ピーターは私たちの人生に影響を与えていた。そもそも、MJとネッドが友達であり続けて、ニューヨークで一緒に暮らしているという事実自体が、彼らにとって何か意味を持っているはずなんですよね。それに、これまでの作品では、MJはいつも“悲観的”で、ピーターは“楽観的”でした。だから今回、その関係性が“逆転”しているのがとても興味深いです。ピーターがひとりになったことで、彼はどんどんネガティブさを抱え込むようになってしまっているけど、MJは彼のことを知らないまま、いつの間にかピーターの“前向きさ”を受け継いでいるんです」






















