『ちいかわ』キャラクター設計の妙 関係性がファンタジーにリアリティを宿す理由とは

『ちいかわ』キャラクター設計の妙を考察

 今回の映画では、くりまんじゅうとシーサーの師弟関係にも注目したい。特に筆者が好きなのは、くりまんじゅうだ。いつも昼間からお酒をあおっては「ハーッ……」と豪快にため息をつく、“のんべえ”のくりまんじゅう。二日酔いで真っ青になりながらも迎え酒をするところも、バーナーでしめ鯖を炙ったり、おでんの出汁でカップ酒を割ったりと、お酒のことに関しては妥協しないところも自分を見ているよう! と勝手にシンパシーを感じていたのだが、印象が大きく変わったのは「資格のおもいで」という単行本限定のエピソードだ。

ちいかわ 公式Xより

ちいかわ 公式Xより

 実は『ちいかわ』の世界では、お酒を飲むのにも資格が必要で、ハチワレに「資格って取るの大変でしたか!?」と聞かれたくりまんじゅうは雨の日も雪の日も外で資格勉強を頑張った日々を思い出す。そんな苦労をしたからこそ、自分と同じようにお酒の資格取得に向け、外勉するシーサーを見かけて、そっとカルパスを差し入れする。ただの“のんべえ”じゃなく、そこに行き着くまでの積み重ねがちゃんとあるからこそ、シーサーもくりまんじゅうを慕い、教えを乞うのだ。

ちいかわ 公式Xより

ちいかわ 公式Xより

 他にも、ちいかわとハチワレが憧れる上位ランカー(討伐の成績優秀者)で普段はクールでありながら、実は甘党でゲームが苦手という一面を持つラッコや、傍若無人で欲望の赴くままに行動しているが、“カニちゃん”こと古本屋とは少しずつ友情(!?)を深めつつあるモモンガなど、『ちいかわ』のキャラクターはどれも記号的にならない。それぞれギャップがあり、それも他者との関わりの中で少しずつ意外な一面が見えてくるところが、この作品の面白いところだ。

 誰か一人圧倒的な主人公が存在し、物語を牽引していくのではなく、各々個性的なキャラクターたちが化学反応を起こしながら、物語を立体的に紡いでいく。そんな群像劇としての魅力が最も発揮されているのが、「セイレーン編」を原作とした今回の映画と言えるだろう。今まで一度も漫画を読んだことがない人も、きっとスクリーンを通して『ちいかわ』の世界に魅了されるに違いない。

■公開情報
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
7月24日(金)公開
キャスト:青木遥(ちいかわ)、田中誠人(ハチワレ)、小澤亜李(うさぎ)、井口裕香(モモンガ)、内田雄馬(ラッコ)、淺井孝行(くりまんじゅう)、島袋美由利(シーサー)、春海百乃(古本屋)、最上嗣生(島二郎)、鈴木みのり(セイレーン)
原作・脚本:ナガノ
監督:及川啓
キャラクターデザイン:辻智子
コンセプトアート:橋本真樹
プロップデザイン:高妻匠
色彩設計:長井彩香
美術監督:眞﨑萌
CG監督:中野祥典
撮影監督:岡﨑正春
編集:高橋歩
音響監督:土屋雅紀 
音響効果:倉橋裕宗(オトナリウム)
音楽:トクマルシューゴ/上水樽力
アニメーションプロデューサー:溝口侃
アニメーション制作:サイピク
製作:川上洋一、古澤佳寛
エグゼグティブプロデューサー:松崎容子
プロデュース:今福太郎
プロデューサー:小峯雅隆、障子直登
宣伝プロデューサー:林原祥一、斎藤愛子、狩野裕明
製作幹事:QTORY inc.
配給:東宝
©ナガノ / 2026「映画ちいかわ」製作委員会
公式サイト:https://chiikawa.toho-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/chiikawa_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/chiikawa_movie
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@chiikawa_movie

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