シベリア抑留から生還した台湾人元日本兵の人生に迫る 『零下五十度の抑留者』9月5日公開

台湾のドキュメンタリー映画『冰封的記憶(原題)』が、『零下五十度の抑留者』の邦題で9月5日よりシアター・イメージフォーラム、横浜シネマリンほかにて全国順次公開されることが決定した。
本作は、日本統治下の台湾で生まれ、日本兵として戦地へ送られた台湾人たちの戦後を追うドキュメンタリー。終戦後、彼らの一部はソ連軍に捕らえられ、極寒のシベリア抑留を経験したが、その過酷な体験は、戦後の日台を取り巻く複雑な国際情勢の狭間で、長く沈黙を強いられてきた。戦後の歴史の中で“不在”とされた台湾出身元兵士らの存在と、語られなかった記憶に光をあて、時代の荒波に翻弄されてきた彼らとその家族の思い、台湾の世代ごとに異なるアイデンティティなどを描き出す。
本作には、シベリア抑留を体験した3名の台湾出身元日本兵が登場する。そのひとり、呉正男はドキュメンタリー映画『台湾アイデンティティー』(2013年日本公開)にも出演しており、今年99歳となる唯一存命の元日本兵で、自らの抑留体験を伝える活動を続けている。呉のほか、許敏信、陳以文、そして彼らが抱え続けた“空白の記憶”を知ろうとする子どもたち、孫たちの姿が映し出される。
監督を務めた許明淳(コー・ビンスン)は、シベリア鉄道に乗り、彼らの帰還までの道を辿っていく。また、台湾、日本を巡り、残された写真や手紙、録音テープ、そして断片的な記憶を丹念に拾い集め、沈黙の奥に封じ込められた感情を掘り起こしていく。
許明淳(コー・ビンスン)監督 コメント
呉正男さんは長い年月をかけて、同じ体験を共有した仲間たちを探し続けてきました。しかし、その願いが叶うことはほとんどありませんでした。なぜなら、台湾人シベリア抑留者たちは歴史の中で語られる機会があまりにも少なかったからです。この映画は、忘れられてきた人々の存在を記録するためだけに作った作品ではありません。戦争によって生まれた傷や沈黙が、どのように家族へ、そして次の世代へ受け継がれていくのか。そのことを見つめ直したいと思いました。『零下五十度の抑留者』(原題:『冰封的記憶』)が、かつて日本のために戦い、シベリアで過酷な日々を生きた台湾人たち、そしてその家族の心に残された空白を少しでも埋めるきっかけになればと願っています。

■公開情報
『零下五十度の抑留者』
9月5日(土)より、シアター・イメージフォーラム、横浜シネマリンほか全国順次公開
出演:呉正男、陳以文、許敏信
監督:許明淳(コー・ビンスン)
プロデューサー:李嘉雯(リー・ジアウェン)
編集スーパーバイザー:林欣民(リン・シンミン)
編集:薛建軒(シュエ・ジェンシュエン)
撮影:林申(リン・シェン)、王盈舜(ワン・インシュン)
製作:多面向影像工作室
配給:太秦
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
2025年/台湾/85分/DCP/5.1ch/台湾語・日本語・中国語/原題:冰封的記憶/英題:Memories Frozen in Time/日本語字幕:神部明世/監修協力:栖来ひかり
©多面向影像工作室
公式サイト:memories-frozen.com






















