『風、薫る』『虎に翼』『ブギウギ』 朝ドラはなぜ“シンママ×一人娘”を描き続ける?

朝ドラのモデルといえば『ブギウギ』(2023年後期放送)で趣里が演じたスズ子のモデルは戦後ブギの女王と呼ばれた歌手の笠置シヅ子だが、彼女はドラマと同じように大恋愛の末に娘を出産。シングルマザーとしてパワフルに激動の時代を生き抜いた女性だった。
もちろん『ブギウギ』の中でもスズ子は娘の愛子を大きな愛で育てるが、歌手として多忙な彼女は茨田りつ子(菊地凛子)の紹介で青森出身の大野晶子(木野花)に家事を任せている。

シングルマザーとして一人娘を育てながら仕事をするには、何でも完璧にやろうとすると時間もないし、体力的にも厳しい。誰かに任せたり、手伝ってもらったり、お互いにできることをやって協力し合う。「良い母」という、その時代やその時の空気が求める女性像に自分を押し込める必要もない。自分が幸せで、家族や周囲の人が楽しく幸せに過ごせるのであればそれが何より大切なのではないだろうか。
笠置シズ子と寅子のモデルとなった三淵嘉子は大正3年(1914年)生まれで『虎に翼』では『ブギウギ』の世界観からつながるエピソードとして、茨田りつ子の「愛のコンサート」が開催された。コンサートは大成功。一方、花江は今まで当たり前のように家事をこなしてきたが、一人で何もかも完璧にはできないということを梅子(平岩紙)に打ち明けていた。花江のように女学生の頃から良妻賢母の教育を素直に受け、器用なタイプでも忙しい時は忙しい。無理なものは無理、と弱音を吐いてもいい。

『風、薫る』のりんも「人は間違える。だが、過ちに気づいて改めないことこそが過ちである」という論語を父の信右衛門(北村一輝)から教わり、たびたび口にしている。「こうあるべき」という思い込みで自分や誰かを追い詰めたり、間違いに気づいているのに無理して取り繕ってもうまくいかない。
軽やかに生きる朝ドラの母と娘の物語が支持されるのは、完璧を目指さなくてもいい、間違えてもそこから自分の強さを発揮していこうという前向きなメッセージを発信しているからではないだろうか。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















