『GIFT』有村架純が体現した加害者家族の苦しみ “圭二郎”本田響矢の地獄から救う一言

5月10日に放送された『GIFT』(TBS系)第5話は、車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」の生まれ変わる瞬間をとらえていた。
人香(有村架純)は練習に姿を見せない日々が続いていた。圭二郎(本田響矢)が10年前に父親が起こした事故の被害者だったことを知り、自責の念に駆られていたのだ。そんな時、ブルズの女性選手とスタッフの取材があり、帰りがけに人香は涼(山田裕貴)とばったり会う。人香から事情を聞いた涼は、事故のことを恨んでいるかと尋ねられて「許せないに近いのかも」と答えてから、こう続ける。
「何も知らされないまま、こっちはずっとそれを抱えて生きなきゃいけない。話さないと始まらない。逃げるのだけはダメだと思う」
涼の言葉は加害者に向けられたものではなかったが、その言葉を聞いた人香は、圭二郎と会う約束をする。
第5話では、相関図上で複数の軸が交錯していた。加害者家族である人香は、被害者の圭二郎と向き合う。並行して、父の英夫(山中聡)に圭二郎のことを伝えた。一つの事故が、被害者の人生だけでなく加害者家族の人生も変えてしまうことが描かれていた。
伍鉄(堤真一)が実の父親であると知らされた昊(玉森裕太)は、広江(山口智子)の後押しもあって、伍鉄と会い、車いすラグビーチームの体験会に誘われる。生き生きと競技を楽しむ選手たちを見て、昊は「夢って、諦めない人にはちゃんと続きがあるんですね」と言うが、伍鉄は「探究を辞めた人には続きなんてありませんから」と突き放す。
それが物理的な距離か心理的な距離かにかかわらず、離れていた親子の関係は今作を象徴するものだ。涼は、自分と母親を置いて出て行った父・達也(菅原大吉)を許せていないし、圭二郎と両親の関係は、事故以来冷えきっていたのが、再び時計の針が動き出したことはこれまで観てきたとおりだ。“BT”拓也(越山敬達)もそうだ。人香は、部屋から出られない英夫を気づかっている。
一般的に、もっとも身近にいて支えてくれる存在が家族で、障がい者スポーツの陰の主役は家族であると言っても過言ではない。それぞれが問題を抱える中で、パラスポーツが、困難な現実と対峙しながら、ともに手を携えて歩むための重要な役割を担っていることが伝わってきた。
加害者家族である人香の存在は、チームの人間関係を揺るがす爆弾になり得る。人香の父親が自分を轢いたドライバーだと聞いた圭二郎は、動揺して言葉を失う。希望を持って挑戦を始めた矢先に、一気に過去に引き戻されるようなインパクトがあったに違いない。
過去とどう向き合うかは重要な課題だ。10年前の事故は、圭二郎と人香の人生を根底から変えてしまった。過去を変えられたらどんなに良いだろうか。人香の父親は立ち直ることができず、人香には謝る以外に方法がない。変えられない過去に対して、どう振る舞うかでその後の人生が決まる。人香の前に姿を見せた圭二郎にとって、目の前の試合こそが未来であり、自分が生きるべき現実だった。
圭二郎の「戻るか。元の世界になんか」「俺は今、ここにいる。ここで生きるんだよ」は、自分自身と人香を地獄から救う一言だった。圭二郎が前を向けたのは、人香の真摯な態度と無関係ではないだろう。2人は、涼が話したように「逃げなかった」ことで未来をたぐり寄せた。
今作の有村架純演じる人香は、選手を支える仲間であり、記者として外部の視点も備えている。加害者家族を演じた有村が、生半可な覚悟で臨んでいないことは、その演技からも伝わってきた。感情を咀嚼し、丹念に織り上げた重みのある一言、そして涙が、単なる加害者側の一人ではない、苦しむ当事者としての胸の内を赤裸々に表現していた。
20分近くを使って描かれたメモリアルカップのブルズとスイフトスネークの試合は、車いすラグビーの魅力を存分に伝えており、選手の視点をとらえた映像の臨場感と、ラグ車がぶつかる音の迫力が、息をのむような緊張感を演出していた。圭二郎が交代で入ってからの攻防は、この競技が「マーダーボール」と呼ばれる理由を余すところなく表現していた。
惜しくもあと数センチで敗れたブルズ。しかし、選手たちはたしかな手ごたえを感じた。試合を観戦した昊も、インスピレーションを得たようだ。だが伍鉄は……。輝きはじめた星々の軌道は今作を新たな舞台に導くだろうか?
■放送情報
日曜劇場『GIFT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
公式X(旧Twitter):@gift_tbs
公式Instagram:gift_tbs
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