『田鎖ブラザーズ』“愛”がゆえに隠されてきた真実 “いい大人”たちが全員怪し過ぎる

「知りたいだけです。なぜ俺達の親が殺されたのか」と、真実を探し求めてきた兄弟。だが、その先に待っていたのは「これ以上調べたら知りたくないことも出てくるかもしれない」という不穏な予感だった。
「愛されていた記憶」と拳銃が突きつけた現実

金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』(TBS系)第4話。真(岡田将生)と稔(染谷将太)が久しぶりにかつての自宅へと向かう。「こんなの作ってくれる親父なんていないよな」そこには父・朔太郎(和田正人)の手作りのロボットが。金属加工を担う辛島金属工場で働いていたからこその見事な仕上がりだ。
酒が好きで、休みの午前中はほとんど二日酔いだった父。決して褒められたものではないかもしれないが、それでも確かに愛されていたと実感できるものだった。だが、そのロボットの中から拳銃が出てきたことで、2人は温かな思い出から一気に冷ややかな現実へと投げ込まれたようだった。
「なあ、俺達の親ってどんなだった? ちゃんとしてた?」
真がそう稔に問いかけるほど、彼らにとって父の記憶が遠いものになっていることに気づく。稔にいたっては、両親を亡くしたときの年齢は5歳。あまりにも幼かった2人には、父が持っていた“裏の顔”を想像することは難しかったはずだ。でも、今ならわかる。この拳銃は、父が隠してきた真実の欠片だ。何の罪もない両親が殺されたという、単純な話ではなくなるということを。そしてあの日、辛島金属工場が火事に見舞われたのも、決して偶然ではないということも――。
“親の因果”に縛られた子どもたち

子どもは、どんな親のもとに生まれたかによって、大きく人生が左右される。“血の鎖”とも言える切っても切れない強固なつながりは、ときに運命を呪いたくなるほどの足かせにもなる。放火殺人事件から明るみになった4億円金塊強奪事件の真相は、親の借金や罪、介護などで苦労してきた子どもたちが、それでも必死に生きてきた先に道を踏み外した姿だった。いつか自分たちのように困っている子どもたちの居場所となるお店を開こう。そう約束していた4人のかつての子どもたち。彼らを4億円金塊強奪事件へと駆り立てた“東郷”という男は、真犯人・横倉沙紀(石川瑠華)がでっち上げた架空の人物だった。だが、彼らを追い込んだ大人や社会を象徴していたとも言える。
「夢もなく生きるか、悪いことをするしかなかった」と語った横倉。ただ純粋に夢を見ることができる子どもでいさせてもらえなかった。今回の事件は、そんな理不尽な現実に飲み込まれた末に起きた悲劇だった。少し状況が違えば、同じように堕ちていたかもしれないと語ったのは宮藤(中条あやみ)。正義感に溢れ、常に正論を唱える彼女もまた親に苦労した1人だったのだ。それでも「家庭環境が全てではない。どういう人生を歩むかは自分次第ですから」という言葉は、これまでの正論とはまた違う響きを放っていたように思う。教科書通りの言葉ではなく、必死に自分を保ち続けようとしている覚悟のようなものが滲んでいた。

そこから感じられたのは、誰もが必死に生きているということ。はたからは、何の苦労もしていなそうに見える人であっても、自分の意思とは全く関係のないところで傷つけられ、抗いながら生きている。自分の心が壊れないように、愛する人が脅かされないように。その悲しみと葛藤が大きいほど、人は簡単に暗い影に堕ちてしまうのかもしれない。田鎖兄弟が、津田(飯尾和樹)に復讐を果たす覚悟を決めたように……。





















