『風、薫る』は“水・風・光”に注目するとより楽しめる? 見上愛×上坂樹里の涙の名演

『風、薫る』見上×上坂の涙の名演の第4週

 物語はいよいよ本題へーー。りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が看護師になる決意をした。朝ドラことNHK連続テレビ小説第114作目『風、薫る』第4週「私たちのソサイエティ」(演出:佐々木善春)では、りんと直美の看護師になるきっかけが描かれた。

 捨松(多部未華子)の婦人会と吉江(原田泰造)の教会が同時に炊き出しを行った。婦人会を直美が、教会をりんが手伝う。そこで子どもが嘔吐をはじめたとき、最初に駆け寄ったのはりん。誰もが怯えるなか、直美は「離れてください」と遠ざける。

 他者への思いやりを持って病をおそれずきびきび行動するふたりに看護師の素養を捨松は見出す。

 そんな捨松は米国で医療の勉強をしていたので、最もきびきび対応した。

「むやみに手を触れては危険です。気をつけなさい。いきなり水を飲ませてはいけません」「口のなかをゆすいで吐き気が治まったのを確かめてから少しずつ飲ませないと、また吐き気を催してしまうかもしれない」「口の中をゆすいだ水はじかに地面に出さずに……」「吐瀉物を水で流したら、万が一、伝染病だった場合、かえって周りに広げることになります」「周りの土ごと集めて、この桶の中に入れて捨てますよ」……こういう対処法はいまでも知っていると役立ちそうである。

 ちょうど捨松は日本にはじめてのトレインドナース(病人を看護する専門の職業)の養成所を作ろうと計画していたところで、りんと直美を誘う。

 在学期間は2年、入学金は無料、授業料は月50銭。寮があって3食込みで1円。

 海外では看護師の給与は月30円ほどで、日本の女性の職業としてはかなりの高額となる。授業料は仕事をはじめてから返すことは可能だ。

 だがりんはお金の問題以前に環(宮島るか)がいるので寮生活は考えられない。直美は玉の輿に乗る予定――海軍の軍人・小日向(藤原季節)と結婚できそうなので、興味はない。

 当初、りんも直美もどちらも看護学校入学に積極的ではなかった。それが変わったのは、奇しくもふたりそろって男性の影響であった。

 まず、直美。簡単に玉の輿に乗れそうでウキウキしていたら、小日向に騙されていたことがわかる。彼は詐欺師で、軍人に変装して鹿鳴館でパトロン探しをしていたのだ。直美はその手助けに使われていただけだった。屈辱に歪む顔。流れる悔し涙。上坂樹里の名演。

「どれだけ着飾って、自分を偽っても、所詮私は他の人にはなれないって。痛いほどわかったんです。私に戻っても何もない。そのこともよく分かりました」

 こうして直美は看護学校に行く決意をした。

 一方、りん。大事な環が奥田家に連れ戻されてしまった。りんは取り返しに栃木に向かう。そこで、正式に離婚することにして、気分もすっきり。環を女学校に通わせるためにも看護婦になろうと決意する。

 その前に、りんは瑞穂屋で出会った不思議な青年・シマケンこと島田健次郎(佐野晶哉)と話して、心の迷いを整理していた。

 男性優位社会で女性の選択肢が少ないなかで自立するということは、男性のくびきから解放されるということでもある。理不尽な夫から、あるいは女性を道具のように扱う男性から解放されるのだ。

 りんの場合はシマケンや地元の虎太郎(小林虎之介)、家や辞書を貸してくれる卯三郎(坂東彌十郎)など親切な男性の後押しも受けているのだが……。

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