佐野晶哉が“演技派アイドル”として躍進 『風、薫る』に活きる『トリツカレ男』の経験

佐野晶哉が“演技派アイドル”として躍進

 これまで別々の場所で苦悩を抱えていたりん(見上愛)と直美(上坂樹里)が、偶然吹いた風によって運命的な出会いを果たしたNHK連続テレビ小説『風、薫る』。第3週「春一番のきざし」では、卯三郎(坂東彌十郎)が経営する「瑞穂屋」で働けるようになったりんが、謎の青年・島田健次郎(佐野晶哉)と初対面する。

 佐野晶哉といえば、Aぇ! groupの一員としてのパフォーマンスはもちろん、バラエティ番組では持ち前の歌唱力とトーク力を活かした立ち回りで場を沸かす、アイドル界屈指のエンターテイナーへと成長を遂げている。近年は子役時代に出演したミュージカルで培った演技力を活かした仕事も多く舞い込んでおり、前述の朝ドラのほかにも、2025年は映画『か「」く「」し「」ご「」と「』で主人公・京(奥平大兼)の親友である高崎博文こと“ヅカ”を演じた。さらに、ミュージカル・アニメーション映画『トリツカレ男』では、ひとつのことに夢中になると周りが見えなくなってしまう主人公・ジュゼッペの声を担当している。

『か「」く「」し「」ご「」と「』©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会

 佐野は映画『か「」く「」し「」ご「」と「』の原作者・住野よるとのスペシャル対談が実現したYouTubeの動画内で、ヅカ役について「こういう役を演じさせていただけるのがちょっと意外」と打ち明けていたが、原作を読み進めていくにつれて、自身との共通点が多くあったと語っていた(※)。ヅカの人懐っこい笑顔と佐野が口角を上げて朗らかに笑う姿がイメージと合致するのはもちろん、2人ともその場の空気を敏感に察知しながら、自然と会話に溶け込んでいくことに長けている印象がある。それでも、元々ヅカはクラスメイトのパラ(菊池日菜子)からは「王子様」と囃し立てられるほどの存在でありながら、爽やかでキラキラとした外見とは裏腹に、心の中ではひんやりとした感情を隠し持っているキャラクターだ。外からは見えない心の内面でぐるぐると思考が渦巻いているヅカの心象を、掴みどころのない空気を醸し出しながらもにこやかに演じていたのが印象的だった。

映画『トリツカレ男』音楽予告 |11月7日(金)公開

 映画『トリツカレ男』で演じたジュゼッペは、一転して何を考えているのか、何に惹かれているのか、観ている人には感情が筒抜けのキャラクターだ。興味を持ったことには全力でのめり込み、風船売りのペチカ(上白石萌歌)に一途な恋をしてからは、自分を犠牲にしてでも彼女を笑顔にするために奮闘する。ジュゼッペのまっすぐで純粋な思いを言葉に乗せて、無我夢中で物事に取り組む姿を魅力たっぷりに演じた佐野は、劇中でミュージカルの歌唱も披露。歌唱シーンは芝居の撮影前に収録されたというが、ペチカの声優を務めた上白石萌歌の声すら入っていない状態でアフレコに臨んだというから驚きだ。それでも、劇中で聞こえてきた佐野の歌声には、確かにジュゼッペの心からの思いと儚い恋心が込められていた。

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