『冬のさ春のね』文菜×ゆきおの関係に決着 “ちゃんと向き合う”を問い続けた物語に

『冬のさ春のね』文菜×ゆきおの関係に決着

 文菜(杉咲花)が山田(内堀太郎)との関係に区切りをつけた一方で、ゆきお(成田凌)は文菜と別れて同僚の紗枝(久保史緒里)と付き合うことを決断する。前回のラスト、出会いの場所となったコインランドリーで待ち合わせをした2人の行き着く先は、もはや“別れ”しかないのである。3月25日に放送された『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)最終話。案の定、その大部分は文菜とゆきおの“別れ話”に費やされていく。

 一軒のカフェに入り、「話がある」と言っていたゆきおよりも先に隠していたことをあらいざらい打ち明ける文菜。山田との関係、彼が恋人の死を受け入れられておらず、死との距離が非常に近い人物であること。それを聞かされて「卑怯」だと言い切るゆきおは、文菜が編んだ“温泉ズ・ブルー”のマフラーを受け取り、そっと彼女の首に巻く。そして穏やかな調子で別れを告げるのである。

 前回の紗枝との一連の会話を観ているせいもあって、ゆきおの話しぶりはちょっぴり嘘っぽく思えてしまう。あたかも、自分に他に相手が見つかって別れ話を持ちかけるよりも前に、文菜のほうが浮気をしていたと告白したことを“しめた”と思っているかのように。別れ話において、自分が優位に立ったことに安堵しているかのように。ひと通り文菜への愛情がまだあることを語ったのち、ようやくゆきおは紗枝のことを話す。しかもかなりオブラートに包んで、「浮気もしてない」とも言うけれど、実際のところはわからない。

 だがひとつだけ確実なことがあるとすれば、ゆきおはカフェでの言葉通り「文菜のことが好き」で、「続けるのは無理」だと考えていることだろう。その身勝手な葛藤のなかにいることを示すように、最後に文菜の髪を切り、他愛もない話をして、彼女を見送って一人になったとき、ゆきおは座ってちょっとだけ涙ぐむ。ドラマ全体を通して文菜の身勝手さへの否定的な声がSNSなどで散見していたわけだが、ゆきおも大概身勝手な男であるし、他の誰だって身勝手で当然だし、だから出会ったり離れたり後悔したりなどが恋愛に限らず付いて回るのである。

 第8話で描かれた温泉旅行の一連にあった「片耳がしゃべる口になったら?」というしょうもないやり取りと、その仮説の試行を美容室の真ん中であらためて繰り広げ、ダンスのような動きをしなくても最初から向き合っていれば良かったことに後から気付いたと話すゆきお。「向き合うことがなかったから気付けなかっただけで、ちゃんと向き合ったら本当はどんなことも単純なことだったのかもしれない」。このドラマの根幹である、文菜が繰り返してきた恋愛の思案も、結局はこの言葉に行き着くのだろう。少なくとも、店に戻ってきた文菜の「また出会え直せないかな」という提案をあっさりと断ったことは、ゆきおの本物の“やさしさ”なのかもしれない。

『冬のなんかさ、春のなんかね』の画像

冬のなんかさ、春のなんかね

小説家で古着屋バイトの主人公・文菜は、過去の経験から恋人と真剣に向き合うことを避けていた。そんな文菜が自分の恋愛を見つめ直していく。演出には、映画監督の山下敦弘と山田卓司も参加している。

■配信情報
『冬のなんかさ、春のなんかね』
TVer、Huluにて配信中
出演:杉咲花、成田凌、岡山天音、水沢林太郎、野内まる、志田彩良、倉悠貴、栁俊太郎、細田佳央太、内堀太郎、林裕太、河井青葉、芹澤興人
脚本:今泉力哉
監督:今泉力哉、山下敦弘、山田卓司
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:Homecomings 「knit」(IRORI Records / PONY CANYON)
プロデューサー:大倉寛子、藤森真実、角田道明、山内遊
チーフプロデューサー:道坂忠久
制作協力:AX-ON、Lat-Lon
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/fuyunonankasa/
公式X(旧Twitter):https://x.com/fuyunonankasa
公式Instagram:https://www.instagram.com/fuyunonankasa/

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