『GIFT』に込められた人間賛歌 櫻井翔が主人公の運命を左右する磁気嵐のような存在に

6月14日に放送された『GIFT』(TBS系)最終話は、不器用な物語のラストにふさわしい感動的なフィナーレとなった。
車いすラグビー日本選手権で、強豪スイフトスネークを破って決勝に進出したブレイズブルズ。しかし、涼(山田裕貴)が試合中に倒れて亡くなったことでチームの責任が問われる。病気を知りながら試合に出場させた伍鉄(堤真一)に非難の矛先が向くなか、狙っていたかのように萩森(岩男海史)が記事で伍鉄を糾弾し、過去の行状を暴いた。
大会本部では理事長の柳原(櫻井翔)によって緊急会議が行われ、決勝戦の中止と得失点差によるシャークヘッドの優勝が決まりかける。伍鉄は、最後の瞬間まで命を燃やした涼の思いを胸に「彼とともに戦った大事な仲間から、戦うことを奪わないでください」と訴える。国見(安田顕)も伍鉄に賛同し、柳原が示した答えは伍鉄がブルズを去るというものだった。
いつか来ると覚悟はしていたが、伍鉄との別れは突然で、選手たちはショックを隠せない。チーム全体がネットの心ない批判にさらされ、決勝戦を前にブルズは沈んでいた。それでも試合に向かおうとする“BT”拓也(越山敬達)と圭二郎(本田響矢)。彼らの心にあったのは涼に誓った約束であり、「涼のため」という一点でチームはふたたび一つになる。
ブルズに吹き付ける世間の逆風は強い。それをはね返したのは言葉の力だった。人香(有村架純)は涼の実家を訪れ、達也(菅原大吉)と君代(麻生祐未)に会う。涼が残したノートを読んだ人香は真実を伝える決意をする。試合は一進一退の攻防が続くが、中心選手のいないブルズが次第に劣勢になり、地力の差が出はじめる。そんなとき、いないはずの伍鉄がコートに現れる。
前話の放送後、涼を死なせる必要はあったのかと書いた。主要登場人物の衝撃的な死に対して反響は大きく、ドラマの演出について疑問を呈する声が多くあがった。多くの視聴者が宮下涼という劇中のキャラクターを愛し、退場を惜しんだ。最終話では、亡き涼の思いをブルズの一人ひとりが抱きしめながら、まるでそこに実在しているかのようにともにコートを駆けた。それは涼の背中を追うシャークの谷口(細田佳央太)にとっても同じだった。
涼の放った光は消えずに残っていて、彼を愛し、認め、戦い、ぶつかり合った者たちは、涼の魂を感じることができたのだと思う。あたかも燃え尽きた恒星の光を、遠くの銀河に生きる我々がとらえることができるように。伍鉄をコートに連れ戻したのも、涼の遺志を形にしようとする人々の思いだった。不在を感じさせない山田裕貴の勇姿は、視聴者の願いに応えるものでもあった。
最終話のゲストとして登場した櫻井翔は、伍鉄とブルズの運命を左右する重大な決断をする。このほどラストライブ『ARASHI LIVE TOUR 2026「We are ARASHI」』を終えて、嵐の活動終了後のドラマ出演としては今作が初となる。櫻井は、2017年新春放送のスペシャルドラマ『君に捧げるエンブレム』(フジテレビ系)でパラリンピックを目指す車いすバスケットボール選手を演じており、パラスポーツとの縁は深い。主人公の運命を暗転させたのち、ふたたび光の当たる場所に連れ出す柳原は、太陽フレアが起こす磁気嵐のようで、トリックスターの真骨頂だった。
今作のタイトルとなった“gift”には贈り物や才能などの意味がある。生まれつき高い知能や突出した才能を持った人は「ギフテッド」と呼ばれる。そのなかには、特有の生きづらさを抱える人もいる。四肢に障がいを持ったパラスポーツ選手を描いた今作は、ぶつかり合いを通して生きる意味を探求しながら、それぞれが秘めた才能を開花させるドラマだった。そのことを象徴していたのが、劇中でたびたび言及される「宇宙は偶然という名の奇跡にあふれています」という台詞である。
宇宙に漂うガスやちりが集まってできた星は、最初は偶然の産物といえる。それが核融合し、自ら光を放ちはじめる。恒星の周りを回る惑星は、偶然によって引き寄せられ、決まった軌道上を公転する。偶然が織りなす秩序が宇宙の奇跡を生み出している。
思うに私たち人間も、生まれてきたことそれ自体は偶然の産物かもしれない。その中で出会った人々と言葉を交わし、思いを確かめながら、それぞれの軌道をめぐり、かけがえのない一瞬を刻んでいる。与えられたものは人によって違うし、そこには様々な感情がある。けれども、それらを贈りものとして抱きしめ、前に向かって車輪を回すことができたなら、人生はきっと素晴らしいものになる。それこそが奇跡なのではないだろうか。
■配信情報
日曜劇場『GIFT』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
公式X(旧Twitter):@gift_tbs
公式Instagram:gift_tbs
公式TikTok:@gift_tbs






























