映画『転スラ』ゴブタの活躍は“下剋上ヒーロー”の真髄か 本編に繋がるディアブロの暗躍も

映画『転スラ』は“下剋上ヒーロー”の真髄か

 ベニマルにソウエイにハクロウといた妖鬼たちにも、ヴェルドラやミリムにもルミナスやヒナタにも、少しずつ見せ場を用意してそれぞれのキャラを推しているファンを安心させてくれるところはファンムービーならでは。ゴブタを主役にしたいばかりに、どれだけ強大な敵が現れても指先ひとつではね飛ばせそうなヴェルドラとミリムを最前線から遠ざける差配に納得がいかないかもしれないが、そこはゴブタの日頃の頑張りに免じて譲ってあげるのも推しキャラの余裕の現れと考えよう。

 KinKi KidsからDOMOTOに名前を変えたアイドルデュオのメンバーとして30年近く活躍し続けている堂本光一が、声優として出演して堂本光一の顔を思い出させないくらい役にハマったイケボを聞かせてくれるところも、この映画の推しポイントだ。パンフレットで「僕は自分の声に自信がないんです」と話しているが、なかなかどうしてベテランの遊佐浩二が演じる役と対峙して負けない存在感を放っている。一聴の価値ありだ。

 ベニマルの兄貴分が登場した『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』と同様に、TVシリーズとして描かれる本編から外れた外伝ということで、観なくても全体のストーリーの理解に支障はないかもしれない。そこは少しでも推しキャラに触れたいと願う気持ちを優先させて足を運んでみるのも悪くない。

 観たら観たで、ディアブロが本編にもいずれ絡んでくるジョーヌという「原初の黄」の悪魔を、リムルのところに誘おうとしているシーンに触れられる。『紅蓮の絆編』では「原初の紫」ヴィオレが登場してディアブロと何か話していた。これに「原初の白」のブランを入れた悪魔3人娘が揃うまでを、映画の中で見せているのだとしたらやはり見逃せない。

 実際、原作者の伏瀬もパンフレットで「ゴブタが成長したら水竜と一緒に冒険するようになるんだろう、という未来への余韻を残したいと思いました」と話して、劇場版でのネタもゴブタというキャラの生涯を形作る要素として映画の内容を公認している。劇場版も含め壮大な『転スラ』ワールドと考え、キャラ推しと同時に作品推しの一環として観ておくほうが良さそうだ。

参照
※ https://gcnovels.jp/blog/451

■公開情報
『劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』
全国公開中
キャスト:岡咲美保(リムル役)、豊口めぐみ(智慧之王役)、前野智昭(ヴェルドラ役)、古川慎(ベニマル役)、千本木彩花(シュナ役)、M・A・O(シオン役)、江口拓也(ソウエイ役)、泊明日菜(ゴブタ役)、小林親弘(ランガ役)、沼倉愛美(ヒナタ役)、Lynn(ルミナス役)、日高里菜(ミリム役)、春野杏(ラミリス役)、金元寿子(エルメシア役)、大西沙織(ユラ役)、遊佐浩二(ジース役)、堂本光一(ゾドン役)、小坂菜緒(ミオ役)、藤嶌果歩(ヨリ役)
原作:川上泰樹、伏瀬、みっつばー『転生したらスライムだった件』(講談社『月刊少年シリウス』連載)
原案・監修:伏瀬
主題歌:TRUE「ユートピア」
アニメーション制作:エイトビット
配給:バンダイナムコフィルムワークス
©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
公式サイト:https://movie02.ten-sura.com/

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