『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』のAI描写と藤子・F・不二雄の予見性を考察

本作の軸はほかにもある。海底という宇宙にも匹敵する未知の場所への関心を大いにかきたててくれるのだ。海底に山があることや、普通の生き物だったら水圧でぺしゃんこになってしまうような深海でも平気で暮らしている生き物たちがいること、ときおり火山活動が起こっていることを知って、自分も行ってみたいと思う子どもたちも多そうだ。大人だって行きたいくらいだ。

太平洋にはムー、大西洋にはアトランチスという文明がかつて存在していて、今は深い海の底に沈んでいるといった伝説や、バミューダトライアングルという船や飛行機が消失する現象が起こる海域についての噂にも触れ、海底人の存在やバミューダトライアングルの“真実”も描いてファンタスティックな夢の世界へと誘ってくれる。加えて新作では、海に汚水やプラスチックを流して汚し、海底では資源を漁る陸上人に海底人が憤りを覚えているといった設定を入れることで、43年前よりも深刻さを増している海洋汚染の問題に気づかせる。
のび太たちが「たからさがしカウンター」を使って最近話題の貴重な鉱物資源レアメタルを海底で探そうとすると、なぜか地上で使われていたプラスチックのゴミがひっかかってしまう。光の及ばない深海にまでゴミが沈んでいて、永遠に分解されずに残り続けているというのは、子どもにとってはなかなかの驚きだろう。エンターテインメントの中にそうしたメッセージを入れて気づきを与える点で、新作は旧作よりも濃いものとなっている。

冒頭で、キャンプに出かけるには宿題をすべて終わらせなければいけないにも関わらず、なかなか手がつかないのび太を、仲間たちが応援するシーンからも気づきを得られる。それは、矢嶋監督が言うように、「みんなで力を合わせて」何かを成し遂げる大切さといったもの。ジャイアンは自分がキャンプに行きたいから、応援というより脅していただけかもしれないが、それも含めてやりたいことがあるなら、終わらせるべきことはしっかりと終わらせる必要性を学べる。
いろいろと手を出しては中途半端に投げだしがちな人に、頑張れば嬉しいことが待っているに違いないといった希望を抱かせる映画ともいえそうだ。
■公開情報
『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』
全国公開中
キャスト:水田わさび(ラえもん役)、大原めぐみ(のび太役)、かかずゆみ(しずか役)、木村昴(ジャイアン役)、関智一(スネ夫役)、千葉翔也(エル役)、広橋涼(水中バギー役)
原作:藤子・F・不二雄
監督:矢嶋哲生
脚本:村山功
主題歌:sumika「Honto」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:東宝
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2026
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