『新劇場版 銀魂』が証明した底力 『鬼滅』パロディから本格バトルまで貫く“銀魂節”の強度

驚くのは、キャラクターが増えているにも関わらず、映画オリジナル要素が本筋のテンポを損なっていないことだ。ギャグとしてしっかり笑わせながら、本筋の緊張感を削がない。さらに、山口勝平演じる映画オリジナルキャラクター・猿赫との戦闘シーンも組み込まれており、今回のリメイクならではの“新しさ”と「吉原炎上篇」の熱量を両立させている。

アクションの見せ場はいくつかあるが、なかでも外せないのが、新八・神楽VS阿伏兎戦だ。普段は「ツッコミ担当」として場を回す新八が、「僕が神楽ちゃんを守るんだ!」と叫び、格上の阿伏兎に食らいついていく姿が熱い。ギャグのテンポで語られがちな新八の、まっすぐな強さと覚悟が前面に出る一戦になっている。
そして、追い詰められた神楽が夜兎族の闘争本能に呑まれ、暴走する覚醒シーンも圧巻だ。この場面自体の魅力はもともと大きいが、今回はシネマスコープサイズの画面設計と劇場向けのカメラワークによって、動きの伸びや空間の使い方がより映える。原作やアニメを知っているファンであっても、劇場で観ることで改めて強度を実感できる仕上がりだったのではないだろうか。

ちなみに、筆者は公開から約2週間が経った週末に劇場へ行ったが、場内はほぼ満席だった。そこで改めて実感したのは、本作が「劇場で声を出して笑える」作品だということだ。最近は映画館でも、場内に笑いが広がる体験にそう多くは出会わない。その日も会場のあちこちで自然に笑いが起きていて、その空気ごと『銀魂』らしい楽しさを共有できる時間になっていた。
なお、原作やアニメを知らなくても映画を十分に楽しめる。はじめて触れる一本として観ても、まったく問題ない。ただ、神楽と神威の関係性や月詠の立場を知っていると、感情の入り方がぐっと深くなるのも確かだ。もし周囲に『銀魂』未体験の人がいるなら、この映画をきっかけに誘ってみるのもいいだろう。

映画続篇を匂わせる演出も含めて、この映画はファンにとってのご褒美であると同時に、新しく『銀魂』に触れるきっかけにもなりうる1本になっていた。笑いも、バトルも、人情も、どれか1つではなく全部ある。その全部を成立させてしまう『銀魂』の強さを、20周年の節目にもう1度見せつけられた気がする。
■公開情報
『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』
全国公開中
キャスト:杉田智和(坂田銀時役)、阪口大助(志村新八役)、釘宮理恵(神楽役)
原作:空知英秋(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:安藤尚也
監修:藤田陽一
脚本:岸本卓
キャラクターデザイン/総作画監督:竹内進二
アニメーション制作:BN Pictures
配給:ワーナー・ブラザース映画
©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会
公式サイト:shin-gintamamovie.jp
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