『鬼滅の刃』はなぜ最強IPになったのか? 映画×テレビ×配信で熱量を循環させる仕組み

『鬼滅の刃』はなぜ最強IPになったのか?

 『鬼滅の刃』のテレビシリーズが4月5日より、フジテレビにて再放送が決定した。しかも、日曜日の9時30分から、いわゆる「ニチアサ」の時間帯での放送となることで話題となっている。

 2025年7月から公開され、現在も上映が続く『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『無限城編 第一章』)は、同作の2020年の大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(以下、『無限列車編』)の持つ興行記録を塗り替えんと邁進中だ。さらに、IMAX上映やScreenXでの上映と新たな楽しみを付与する上映形態もスタートしている。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』IMAX特別上映版予告映像

 近年、IP(知的財産)という言葉が定着しているが、『鬼滅の刃』は名実ともに日本最強クラスのIPへと上り詰めたと言える。しかし、その人気はいかに築かれてきたのだろうか。

 IP人気を高めるのも大変だが、維持するのも大変だ。IP展開は多面的なもので、映像作品だけで成しえるものではないが、本稿では、『鬼滅の刃』の放送、上映戦略を中心にファンの熱をいかに高めキープしてきたのか、振り返ってみたい。

映画とテレビ・配信を橋渡しするように展開してきた『鬼滅の刃』

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 『鬼滅の刃』テレビシリーズ第1期が放送されたのは、2019年4月のことだった。あまり知られていないかもしれないというか、みんなもう忘れてしまったかもしれないが、第1期の放送に先駆けて映画館で第1話から5話までを映画館にて先行上映していた。『鬼滅の刃』の映像が本格的に一般の視聴者にお披露目された場所は映画館だったのだ。

 本作の第1期のテレビ放送は、他の深夜アニメと同じく、東京圏ではTOKYO MX、それ以外の地域では独立UHF局にて放送された。東京圏に暮らしていると気が付きにくいが、深夜アニメは、全国どこでもテレビで観られるというわけではなく、タイトルごとに視聴できないエリアが異なる。多くても10局程度での放送になるところ、『鬼滅の刃』は21局での放送を敢行。これは深夜アニメとしてはダントツに多い。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 加えて、あらゆる配信サイトで視聴できるように環境を整えていた。『鬼滅の刃』は他のアニメ作品に比べてタッチポイントが非常に多かったのだ。第19話「ヒノカミ」に代表されるようなクオリティの高いエピソードが話題になっても、いつでも途中から視聴し始めることができる体制を、できるだけ広く整えていたと言える。

 アニメで火のついた人気は、おりしも佳境を迎えていた原作マンガに流れていく。原作マンガの連載は2020年5月に『週刊少年ジャンプ』誌上で終了し、コミックス最終巻は同年の12月に発売された。 

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 そのマンガの熱狂の最中に劇場版『無限列車編』は公開され、よく知られているようにコロナ禍にもかかわらず、日本映画史上最高の興行収入を記録することになった。

 入口を大きく広げることで作品の認知度を高め、いつでも配信で観られる状態で新規参入もしやすくしておく。原作展開とアニメ放送の相乗効果もあり、人気が最高潮に達したと言える。

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