『グランメゾン』シリーズなぜ成功? 新たな魅力を開拓し続ける木村拓哉の代表作に

『グランメゾン』シリーズは木村拓哉の代表作

 そして、特筆するべきなのは女性キャラクターの描き方だ。鈴木京香演じる早見倫子は、尾花と男女という性別を超えた関係を築いているように見える。倫子もまた、中年になってもミシュランの星をとることを諦めていないシェフだ。複雑なフランス料理でも、その素材の組み合わせや調理法をぴたりと当てることができる、いわば神の舌をもっている。それゆえに、自分自身が平凡なシェフであること、そして尾花が卓越したセンスの持ち主であることに気づいてしまう。そして、ほとんど全てを投げ打ってタッグを組むことになるのだ。その関係性は、恋愛に回収されることはないし、お互いに依存もしない。料理人としてライバルであり、夢に向かうバディでもあり、その関係性は緊張感を保ち続ける。大人になってから異性とそんなふうに対等な信頼関係を持てることも、一つの理想像であろう。

 『グランメゾン』シリーズのスペシャルと映画『グランメゾン・パリ』は、2024年の年末に続けて放送・公開された。続編の制作はもっと早くても良さそうだったが、この間にコロナ禍があった。木村がインタビューで「あの時間をなかったことにしてはいけないんじゃないかと思ったんです。もちろんドラマはフィクションですけど、実際の飲食業界では、あの難局を踏ん張れた方もいれば、お店を閉じるしかなかった方たちもたくさんいました。そこをすっ飛ばして描くのはどうもイヤだなと」(※)と語っているように、苦境に立たされた飲食業界への目線を忘れてはいないことも、物語に厚みを持たせたようだ。

 木村は、本作の後、『教場』(フジテレビ系)シリーズでもヒットを飛ばし、2月には劇場版の公開が控えている。現在公開中の山田洋次監督作『TOKYOタクシー』も好評を博しているという。同世代としては、年齢を重ねて脱皮するように新たな魅力を開拓し続ける木村の姿には勇気と希望を感じる。『グランメゾン』シリーズにもまだ先があるかもしれないなどと、勝手に期待してしまいそうだ。

参照
https://realsound.jp/movie/2024/12/post-1887386.html

■放送情報
映画『グランメゾン・パリ』
TBS系にて、1月11日(日)21:00~23:18放送
出演:木村拓哉、鈴木京香、オク・テギョン、正門良規(Aぇ! group)、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、寛一郎、吉谷彩子、中村アン、冨永愛、及川光博、沢村一樹
監督:塚原あゆ子
脚本:黒岩勉
料理監修:小林圭(Restaurant KEI)
制作プロダクション:TBSスパークル
配給:東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2024 映画『グランメゾン・パリ』製作委員会
公式サイト:https://grandmaison-project.jp/
公式X(旧Twitter):@gurame_tbs
公式Instagram:gurame_tbs
公式TikTok:@gurame_tbs

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