『シナントロープ』は若手俳優陣だからこそ面白い! 此元和津也の脚本が光る会話劇の妙

本作を観て、会話劇とはこういうことだと見せつけられた気がした。第1話でバイト帰りに都成が木場をご飯に誘う。お金がない木場に対して、奢ると答えた都成。「さすが実家住み」と返す木場。シーンが切り替わり、水町と里見(影山優佳)の会話は「実家住んでるんだっけ?」から始まる。また、都成と木場が「大学に友達いないから」からの会話で終われば、次のシーンは里見の「大学に友達いないんですか?」の問い掛けからスタートする。その後もテンポよくそれぞれの会話は進み、都成と木場は「外注」、水町と里見は「害虫」の話題へ。本作は毎回このように、終わりと始まりが繋がるシーンが出てくる。異なるシチュエーションではあるものの、物語は数珠繋ぎのように続いていくのだ。スイッチのようにパチッと切り替わっていく様がとても心地よく、会話劇への期待度は自然と上がっていく。

これまでたくさんの謎が散りばめられてきたが、最終回までに明らかになったことがある。大きなところで言うと、何の脈絡もなく描かれていたおじさん(山本浩司)と若い男(栗原颯人)の正体だろう。実はこの2人のやりとりは過去の回想で、おじさんは水町のお父さん。折田の家に窃盗に入った2人だったが、おじさんは少年時代の折田に殺されてしまう。なんとか生き延びた若い男こそ、折田が探している“シマセゲラ”であり、幼い水町を助けた人物だったのだ。もう一つ明らかになったことと言えば、初回から登場していた目出し帽の男の素顔。声を聞いてもしかしたらと思っていた方もいるかもしれないが、ミュージシャンの石崎ひゅーいが演じていた。

もちろん、まだ回収されていない謎もある。こちらも初回から登場しているインカアジサシ(綾田俊樹)の正体。折田に敵対する人物であることはなんとなく伝わってくるが、その素性はまだ明らかになっていない。また、現在の若い男がもう折田とは関わりたくないと話すように、彼は水町を助けた“シマセゲラ”ではあるが、脅迫状を送った“シマセゲラ”ではないのだ。それならば誰が一体、なんのために。第9話のラストで折田らに拐われて以降、ほぼ消息が分かっていなかった水町だったが、第11話のラストで山小屋に監禁されている様子が映し出された。ついに最終話、折田と水町が対峙する。“シマセゲラ”を名乗っているのは一体誰なのか。
此元和津也が原作・脚本を務めた男女8人の青春群像ミステリー。街の小さなバーガーショップで不可解な強盗事件が発生し、静かだった日常が少しずつ歪みはじめていく。
■放送情報
ドラマプレミア23『シナントロープ』
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送にて、毎週月曜23:06~23:55放送
Prime Videoにて、各話放送終了後から見放題独占配信
ネットもテレ東(テレ東 HP、TVer、Lemino)にて見逃し配信
出演:水上恒司、山田杏奈、坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃、遠藤雄弥、アフロ、森田想、染谷将太
原作・脚本:此元和津也
監督:山岸聖太
音楽:江﨑文武
オープニングテーマ:柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」
エンディングテーマ:S.A.R.「MOON」
チーフプロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.)
プロデューサー:前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)
制作:テレビ東京、P.I.C.S.
制作協力:アスミック・エース
製作著作:「シナントロープ」製作委員会
©此元和津也/「シナントロープ」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope/
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