『あんたが』“勝男”竹内涼真ד鮎美”夏帆が手放したもの 2人の決断に納得のラストに

「勝男さん、これは自分でやりたい」と一線を引いた鮎美は、“支えたい”という好意や善意を引っ提げた勝男に、悪気なく土足で自身の世界に踏み入られた気持ちになってしまったのかもしれない。
「私は誰かの後ろじゃなくて横に立てる自分でいたい。だから今はちゃんと自分と向き合って自分の足で立てるようになって、それでお店を出したい。今の自分だからできることをしたい」

そう伝えた鮎美は「勝男さんの横に立てる自分でいたい」とは言わなかった。勝男のために成長するのでも、ハイスペ彼氏の勝男に釣り合う彼女になるために切磋琢磨するのでもない。「自分は自分」「これが私」と言える私であるために自分の力でとにかくやってみたい。そんな鮎美の邪魔をしたくはない、本当の意味で彼女を応援したいと、この関係を終わりにすることを選んで手放せた勝男は、やっぱり良い奴に違いない。互いに嫌いになったわけではない2人の別れの苦しさや切なさが充満するあの食卓シーンには、思わず飲み込まれてしまいそうになった。

「守りたい」「支えたい」以外の感情や行為こそが本当に好きな人のためになり、その幸せを願うことに繋がるのだと、自身の気持ちよりも相手のために終わりを選べた勝男に心からの拍手を送りたい。「俺は鮎美を応援する。鮎美はどこまでだっていける、大丈夫」と好きな相手の飛躍を祈りながら、その隣に自分がいられないことをなんとか受け入れ、決心したように言う勝男の不器用全開な愛情。それをしっかりと受け取り前進する鮎美という新しい2人の関係性が見られた。一方的に全くの心当たりもなしに拒絶されたプロポーズから“別れ”という選択は同じながらも、全く異なる2人の心情と現在地に、そこはかとない気持ちが湧いてくる。

お互いのおかげで変わることができた2人が、変化したからこそ、そしてこの先も変わり続けるために別々の道を選ぶ。一緒に過ごした時間も離れて過ごした時間もある2人だからこそできたこの決断に、妙に納得してしまった。そして、ついに高円寺から引っ越した勝男が一体どこに移り住むのか、無性に気になってしまう。
谷口菜津子による同名漫画を原作としたロマンスコメディ。「料理を作る」というきっかけを通じて、“当たり前”と思っていたものを見つめ直していく男女を描く。
■配信情報
火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:夏帆、竹内涼真、中条あやみ、前原瑞樹、サーヤ(ラランド)、楽駆、杏花
原作:谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社『comicタント』連載)
脚本:安藤奎
演出:伊東祥宏、福田亮介、尾本克宏
プロデューサー:杉田彩佳、丸山いづみ
編成:関川友理
音楽:金子隆博
主題歌:This is LAST「シェイプシフター」(SDR)
制作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antaga_tbs/
公式X(旧Twitter):@antaga_tbs
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