『ばけばけ』髙石あかりの魅力が凝縮された“一人芝居” 吉沢亮も流石のリアクション

『ばけばけ』(NHK総合)第17話が10月21日に放送された。出奔した銀二郎(寛一郎)を探して東京にやってきたトキ(髙石あかり)。部屋から出てきたのは見知らぬ男だった。
明治19年(1886年)の東京の行政区分は東京府東京市でトキが訪れたのは本郷区。現在の文京区に当たる。下宿の部屋にいたのは眉目秀麗な秀才だった。引き戸を開けて吉沢亮が血相を変えて出てきたら、誰もが驚くに違いない。

松江の神童で“大磐石”と級友から呼ばれる錦織友一(吉沢亮)。のちにトキの人生を左右する出会いは、いろいろと説明が必要だ。錦織は、トキが銀二郎の妻であると知りながら、トキを追い返そうとするが、トキの足元を目にして部屋に上がることを許した。足が傷だらけのトキに塗り薬を渡すと、長旅で疲労困憊のトキはその場で寝入ってしまう。
錦織にとって、トキとの初見はインパクト十分だった。戸口で何度も大声で叫び、「取り込み中」と断っても食い下がる。その場で寝てしまい、起こそうとすると怪しい笑みを浮かべて眠り続ける。「アンビリーバボー」とつぶやく錦織の目に、トキは松江の妖怪のように映ったのではないか。

そうかと思うと、トキは突然大声を発する。金縛りが解けると、畳に横になって今度は本格的に眠りに入る。ご丁寧に「すいません」と添えるところにトキの人柄がにじむ。一連の髙石あかりの芝居は、表情と動作の運びが自然かつメリハリが効いており、パントマイムのようなおかしみがあった。それをかたわらで見守り、時折、合いの手を入れる吉沢亮のリアクションを含めて、一つの出会いを印象深いものにしていた。
トキが目覚めたときは夕方で、錦織はいなかった。部屋には帝大生の根岸(北野秀気)と若宮(田中亨)がいて、将棋を指していた。ここでようやく謎解きパートとなり、これまでの経緯が語られる。錦織は誰で、なぜ銀二郎と同居しているかを、根岸と若宮は端的に説明する。松江出身の彼らは、行き倒れていた銀二郎を助け、それ以来、銀二郎は車夫をしながら居候していた。錦織が取り込み中だったのは、試験前で追い込んでいたからだ。

第4週にして主人公が上京という異例のペースで進む『ばけばけ』。サワ(円井わん)が言うように、トキは松野家を捨て、銀二郎と東京で暮らすのか。銀二郎はまだ帰宅せず、結論は明日以降に持ち越された。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK






















