間宮祥太朗×新木優子が復讐劇に挑む 『良いこと悪いこと』は日テレらしいミステリーに

『良いこと悪いこと』日テレらしいミステリー

 10月11日に放送がスタートした『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)。“良いこと”と“悪いこと”の単純な並列にも見えるし、第1話の劇中だけで何度も「悪い子」という言葉が用いられたことから考えるに、“良い子”と“悪い子”と、というふうにも読める。劇中の主要な登場人物たちをつなげる小学生時代のいじめに置き換えれば、加害者は後者となるだろう。被害者――“どの子”こと猿橋園子(新木優子)は相対的に前者となるが、必ずしもそうだとはまだ断言できないし、加担していない他のクラスメイトも然り。もちろん、“良い子”と“悪い子”と、とくれば、その続きに“どちらでもない子”がいるような気がしてならない。

 物語は2025年。22年前に鷹里小学校の6年1組だったクラスメイトたちが、かつて埋めたタイムカプセルを掘り起こすところから幕を開ける。タイムカプセルに収められていたのは、当時それぞれが将来の夢を描いた絵と卒業アルバム。ところが卒業アルバムのクラスのページで、クラスのリーダー格だった“キング”こと高木将(間宮祥太朗)をはじめとした6名の顔だけが黒く塗りつぶされていた。そしてその夜、塗りつぶされていたうちの一人である“貧ちゃん”こと武田敏生(水川かたまり)が、自宅のマンションから転落して命を落とすのである。

 “タイムカプセル”というのは非常に興味深いアイテムである。時間を超えて、おおよそ子ども時代から大人になってばらばらの境遇に置かれた複数の登場人物たちを合理的に繋ぎ合わせてくれる。そしてそれを契機に過去の出来事が掘り起こされ、登場人物たちの現在に何らかの影響を及ぼしていく。

 たとえば2025年4月期にABCテレビ・テレビ朝日系で放送された『いつか、ヒーロー』では、主人公を中心としたヒューマンミステリーと復讐劇に徹し、2024年7月期に読売テレビ・日本テレビ系で放送された『クラスメイトの女子、全員好きでした』(偶然にも同作に出演していた木村昴と剛力彩芽は本作にも登場している)ではおぼろげな学生時代の記憶を頼りにしたコメディに徹される。そして本作においては、まだ動機や目的が定かではないにしろ、タイムカプセルを掘り起こしたことで主人公たちが否応なしに過去の記憶と向き合い、身の危険にさらされる。それを考察性が全面に押し出されたミステリーに落とし込むあたり、実に日テレドラマらしい。

 空を飛ぶことを夢としていた武田が、実際に空を飛ぶようなかたちで転落死を遂げ、消防士になる夢を描いた“カンタロー”こと桜井幹太(工藤阿須加)は経営する居酒屋で火災が起きる。何者かによって、各々の夢に見立てた復讐劇が繰り広げられていることは明白であり、ヒーローになって悪いやつを成敗している絵を描いた高木には、正義の鉄槌がくだることが暗示されている。そうなると、彼に共闘を持ちかけるいじめの被害者だった園子こそ、記者という職業柄“正義”という言葉が似合うのだが。

 現状では顔を塗りつぶされていた残りの3名、“ターボー”こと小山隆弘(森本慎太郎)と“ちょんまげ”こと羽立太輔(森優作)、そして“ニコちゃん”こと中島笑美(松井玲奈)は、同窓会に参加しておらず、どのような夢を描いていたのかも明らかになっていない。次回以降、高木と園子が順を追って彼らと再会していき、小学生時代の出来事などが紐解かれていくのだろう。ところで、回想で描かれた高木たちによる園子へのいじめの描写。明らかに6名以外の誰かが園子を体育倉庫に閉じ込めていた点は記憶に留めておきたい。

 それにしても、オープニングから流れるポルノグラフィティの「アゲハ蝶」(厳密には2001年の楽曲なので、主人公たちが小学4年生だった頃の流行歌である)。高木の常連のスナック「イマクニ」(これもポケモン世代には妙に刺さる名前だ)では、T.M.Revolutionの「HOT LIMIT」のCDを見つけて盛り上がり、アンダーグラフの「ツバサ」をカラオケで歌う。主人公たちの設定よりも3つ上の学年である筆者にとっては、こうした小ネタ的選曲こそがタイムカプセルである。

『良いこと悪いこと』の画像

良いこと悪いこと

ガクカワサキが脚本を手がけるノンストップ考察ミステリー。小学校の同窓会で、連続不審死が発生。同級生全員が容疑者となる中、犯人を巡る探り合いが始まる。

■放送情報
『良いこと悪いこと』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎(SixTONES)、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり(空気階段)ほか
脚本:ガクカワサキ
演出:狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
プロデューサー:鈴木将大、妙円園洋輝
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:Jun Futamata
制作協力:ダブ
©日本テレビ
公式X(旧Twitter):@iiwaru_ntv
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公式サイト:https://www.ntv.co.jp/iiwaru/

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