『エイリアン:アース』の真髄だった“人間とは何か”という問題提起 シーズン2への期待も

ディズニープラス スターで独占配信中の『エイリアン:アース』。『SHOGUN 将軍』のFXが製作を手がけ、エイリアンの生みの親であるリドリー・スコットが製作総指揮を務める本作。映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」で批評家スコア95%フレッシュという、『エイリアン』シリーズの中で最高となるスコア(※9月22日時点)を獲得。シーズンフィナーレでもある第8話は、ロスト・ボーイズたちの“反撃”から幕をあける。
※本稿は『エイリアン:アース』第8話のネタバレを含みます。
“幽霊”として大人たちに反撃するロスト・ボーイズ
第7話のラストでハーミット(アレックス・ロウザー)に対して怒鳴り声をあげたウェンディ(シドニー・チャンドラー)。ついにはゼノモーフを兵器化し、感情のない目で彼らを殺していくその様子を見ていた彼女に残っていた唯一の人間性、それが兄との繋がりだった。しかし、彼女はもう彼が自分の味方ではなく“人間側”であると感じてしまう。
最終話は、そんな彼女が一緒に檻に閉じ込められたロスト・ボーイズを扇動し、その中から遠隔的に大人たちを追い詰める様子がなんとも恐ろしかった。ニブス(リリー・ニューマーク)がしきりに言っていた“幽霊”として、映像パネルを操作してハーミットの友人でもある戦闘兵らを恐怖のどん底に陥れる。正直、あそこまでのことができてしまうウェンディが強すぎて、本当に檻が檻として機能していないのがすごい。
しかし、そこでスミー(ジョナサン・アジャイ)が彼女にハーミットのことを聞くのだ。兄を敵分子としてみなそうとする彼女に対し、スミーは優しくハグをする。シリーズ全話を通して、ウェンディは人間性を徐々に捨て去っていった。そこにはカーシュ(ティモシー・オリファント)の思惑もあったのだが、最後の最後で彼女の兄を慕う幼い子供としての心を繋ぎ止めたのが、同じように前話でトラウマ的体験をしたスミー[子供]なのが、なんだか温かい。
そして、彼らはピーターパン[ボーイ・カヴァリエ:サミュエル・ブレンキン]も、フック船長[モロー:バボー・シーセイ]も、自らの手で捉えてしまう。彼らの倫理観を歪ませてきた大人たちを、逆に自分たちを閉じ込めてきた檻にぶち込み、その檻の周りをゼノモーフが徘徊する。パワーバランスが一気に転覆したラストに、シーズン2への期待が高まった。もともとシーズン2の計画がなかった本作だが、クリエイターのノア・ホーリーはキャストの演技力の高さゆえにミニシリーズ化できるかもしれないと考えたようだ。FXの代表であるジョン・ランドグラフも、2024年にすでにこの件について以下のように語っていて、「Rotten Tomatoes」でシリーズ史上批評家スコアを記録した結果がさらにシーズン2製作を後押しするのかもしれない。
「我々は『エイリアン:アース』にかなり期待しており、希望通り『エイリアン:アース』がテレビシリーズ化すると仮定した場合、(ホーリーが原案を担当する)『ファーゴ』シーズン6の前に、少なくとも2シーズン分の脚本執筆に集中してほしいと彼に伝えました」























