宇野維正の映画興行分析
初登場3位『ファンタスティック4』 1年後に始まる現行MCU「ラストスパート」への不安も

7月第4週の動員ランキングは、2位以下に圧倒的な差をつけて『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が2週連続で1位。週末3日間の動員は212万1000人、興収は30億9900万円。7月27日までの10日間の動員は910万4500人、興収は128億7200万円。同期間の比較で、最終興収404.3億円を記録した5年前の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の116%という驚異的な数字で推移している。
2位は前週と同じく『国宝』。3位以下には『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』、『事故物件ゾク 恐い間取り』、『映画 仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者/映画 ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード』と、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開日から1週遅れつつも、今年の夏休み興行を当てこんだ国内外の初登場作品が並んだ。
3位に初登場した『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のオープニング3日間の動員は20万5000人、興収は3億5100万円。MCU作品の前作にあたる今年5月公開の『サンダーボルツ*』の同期間の興収は4億5900万円だったので、そこから24%ダウンとなかなか厳しい出足だ。『サンダーボルツ*』の最終興収は11.1億円、その前作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の最終興収は11.3億円。本コラムでも「日本国内のMCUファン層は拡大も縮小もしない『安定期』に入っている」(※)と分析したばかりだが、映画作品としてはコロナ禍以降ではMCU最長のインターバルが開くことになる、来年7月全米公開予定の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』、そしてそれに続く来年12月公開予定の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』という超ビッグタイトルを前に、少々不安な材料を残す結果に終わりそうだ。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の公開直前の会見では、マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギから、2027年12月全米公開予定の『Avengers: Secret Wars(原題)』をもってこれまでのシリーズ全体が「リセット」されて、多くのスーパーヒーローのキャストが変更されるという爆弾発言も飛び出したばかり。2027年といえば、2008年公開の『アイアンマン』から数えてちょうど20年目。既に退場しているキャストの多さ(まさかの復活もあり得るのがMCUだが)や現行のキャスト陣の加齢を考えれば、当然といえば当然の流れだが、「遂にその時が来てしまった」と感じているファンも多いことだろう。
参考
※ https://realsound.jp/movie/2025/05/post-2014525.html
■公開情報
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
全国公開中
出演:ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラック
日本版声優:子安武人(リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック役)、坂本真綾(スー・ストーム/インビジブル・ウーマン役)、林勇(ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ役)、岩崎正寛(ベン・グリム/ザ・シング役)、楠大典(ギャラクタス役)、上田麗奈(シルバーサーファー役)
監督:マット・シャクマン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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