興収で読む北米映画トレンド
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』北米No.1 『スーパーマン』と僅差の大接戦

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が好スタートだ。7月25日の劇場公開後、週末3日間の北米興行収入は1億1800万ドル。DC映画『スーパーマン』の1億2501万ドルには及ばなかったものの、今年公開作品のオープニング興行収入としては第4位となった。
本作は、マーベル・コミック屈指の人気ヒーローチーム「ファンタスティック4」が、いよいよMCUに初登場するコミックファン待望の一作。旧20世紀フォックスで3本の映画が製作されたが、残念ながら評価はふるわず、2019年のディズニーによるフォックスの事業買収を経てMCUに組み込まれる運びとなった。

1960年代風のレトロ・フューチャーな世界観で描かれる本作には、ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラックのほか、ジュリア・ガーナー、ラルフ・アイネソンという豪華キャストが結集。ファンタスティック4がヒーローになってから4年後、シルバーサーファーが姿を現し、宇宙最強の脅威ギャラクタスが地球を滅ぼしにやってくると宣告する。
観客の男女比は男性が70%、女性が30%。年代別には25歳未満が全体の42%を占めたが、コミック・映画ともに歴史あるタイトルゆえだろうか、比較的年長の層からも注目度が高かった。その一方、「家族」がテーマの映画ながら、初週末のファミリー層の集客は『スーパーマン』に軍配が上がったようだ。
スーパーヒーロー映画では恒例だが、プレミアムラージフォーマット上映の需要も高かった。IMAX上映の北米興収は1600万ドルで、なんと初動興収の13.6%。MCU映画として史上2番目のシェアだという。
海外52市場の週末興収は1億ドルで、『スーパーマン』の海外オープニング興収9500万ドル(78市場)をわずかに上回った。ただし、世界累計興収は2億1800万ドルのため『スーパーマン』の2億2000万ドルにわずかに届いていない。まさしく僅差の大接戦とあって、数字の最終確定段階で逆転することもありうる状況だ。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』と『スーパーマン』は、どちらも北米興収が海外興収を上回った。ともにアメリカでの人気が高く、海外での訴求力が高くないフランチャイズであることが一因だ。もっとも米Deadlineは、かつてスーパーヒーロー映画の人気が高かったアジア市場の変化を指摘している。
中国市場でハリウッド映画の人気が落ちていることは、コロナ禍以降、中国が上映本数を著しく絞ったことから続いているためいまさら驚くものではない。ただし、一時はマーベル映画が熱狂的人気を誇った韓国でも国産映画の人気が高まっており、『ファンタスティック4』は人気のウェブトゥーン『全知的な読者の視点から』の実写映画版に存在感を奪われた。中国・韓国ほど大きい市場ではないものの、日本で『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が大ヒットしていることは言うまでもない事実だ。



















