藤井流星、演技派WEST.の中でも際立つ存在感　『スティンガース』刑事役で映す“多面性”

　また、『スティンガース』ではまっすぐで正直な警察官を演じているが、『警視庁考察一課』（テレビ東京系）では、現場には行かずわかっている状況を整理して事件を解決に導く“考察一課”にやって来た新米警察官役に。サスペンスドラマを語るに欠かせない船越英一郎や山村紅葉ら豪華俳優陣が演じる“考察官”にツッコミを入れながら、状況をわかりやすく整理してくれるキャラクターだ。落ち着いているが、テンポよく展開される会話の波にしっかりと乗って、場を和ませてくれる役柄でもあった。

　さらに、ここ最近はキャラが立つ役柄を演じている印象も強い。ドラマ『18歳、新妻、不倫します。』（ABCテレビ・テレビ朝日系）では、名家のお嬢様・明花（矢吹奈子）のボディガードで、彼女と偽装結婚をすることになる煌を演じた。愛のない政略結婚を避けるため、一旦煌と結婚して、“不倫”という形で初恋を探そうと意気込んでいた明花だったが、煌の猛烈アプローチに次第に心を奪われ、本当に恋に落ちてしまう。守ってくれる安心感と押しの強さ、そして煌の大人な雰囲気に圧倒される明花に納得してしまうほどの色気を見せてくるのだ。キザな台詞も自然に言い切れるのは、アイドルという一面があるからだろうか。全体的に甘い雰囲気だが、後半では煌の過去が明らかになって一気に復讐劇のようなシリアスな展開へと変わっていき、煌の二面性を味わうこともできる。

　また、『キスでふさいで、バレないで。』（読売テレビ）でも、今まで以上に大人な雰囲気を漂わせた藤井だが、自身もコメントしているように「今まで演じてきた中でも最もクールなキャラクター」（※2）であると言えるだろう。会社の後輩の楓（紺野彩夏）とひょんなことから急接近し、恋人になるという役柄なのだが、その急接近のスピードが想像以上で、藤井のクールなのに大胆な姿に視聴者が釘付けになってしまうのも納得だった。

　そんな最近のイメージがあったからこそ、『スティンガース』での振り幅に驚いた人も多いことだろう。こうして出演作を振り返ってみると、彼は物語に馴染んで視聴者の感情に訴えかけるというよりは、キャラクターごとの独特な個性を最大限引き出しながら、自分自身の存在感も生かして“俳優・藤井流星”としての新しい一面を見せ、楽しませてくれる人物なのだと感じさせられた。

　正直でまっすぐで、ちょっと強面な信吾は、冷静で裏の裏まで読んでいる民子ときっと相性抜群だ。番組公式サイトには、信吾について「次第におとりの才能を開花させていく」という記述もある。正反対が故に衝突しそうな予感もするが、“スティンガース”のメンバー含め抜群のチームワークを発揮してくれることを期待したい。

参照
※1.https://realsound.jp/movie/2025/07/post-2093102.html
※2.https://www.ytv.co.jp/kiss-bare/chart/

■放送情報
『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』
フジテレビ系にて、毎週火曜21:00～22:09放送
出演：森川葵、藤井流星、本郷奏多、志田彩良、井内悠陽、杉本哲太、玉山鉄二ほか
脚本：徳尾浩司
演出：松原浩、中島悟、伊藤彰記
編成プロデュース：水戸祐介
プロデュース：松原浩、大庭佑理、難波利昭
制作協力：イカロス
制作著作：フジテレビ
音楽：林ゆうき
主題歌：パイロット 「マジック」（ワーナーミュージック）
オープニング曲：harha「マスカレード」（SDR）
©︎フジテレビ
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