藤井流星、演技派WEST.の中でも際立つ存在感 『スティンガース』刑事役で映す“多面性”

正義感が強く、つい突っ走ってしまうキャラクターは、刑事ものには必要不可欠だ。『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』(フジテレビ系/以下『スティンガース』)で藤井流星が演じる乾信吾は、その性格でチームを事件解決へと導く重要な役割を果たしている。
本作の中心となるのは、警察庁で新設された「おとり捜査検証室」に配属されたメンバーだ。ゲームに強い者もいれば、粘り強い精神力を持つ者もいて、それぞれに特徴がある。このチームをまとめる二階堂民子(森川葵)は、FBIでおとり捜査を学んできた超エリート。異動を拒んだ信吾のおとりとなって、自ら彼をチームに導いた。
第1話では詐欺集団のトップにたどり着くために、それぞれが潜入して捜査をすることになる。まず、信吾は組織の幹部になりたい“怖いもの知らずのワイルドボーイ”として、闇カジノに潜入する。その後、チームの協力も得て見事指示役にスカウトされ、最終目標である組織のトップに会うことも達成する。

ただ彼は悪を捕まえたいという気持ちが強すぎるあまり、計画通りに動くのが得意ではないようだ。それを見越した民子は、信吾が予定外の動きをしたときにも落ち着いた様子で別プランを実行しようとする。一方で、藤井自身が語るような信吾の「愚直でまっすぐな性格」(※1)があるからこそ成功できたこともある。まさに、おとり捜査チームの中の“デコイ”という役割なのだ。
WEST.のメンバーとしても活躍する藤井はアイドルらしい髪型のイメージがあったが、本作のために髪の毛をバッサリとカットしイメージチェンジ。見た目としても役柄としても新たな藤井の一面を見ることができる作品だ。
藤井の出演作として印象に残っているのは、10年前に放送されたドラマ『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)で演じた、主人公・倉田健太(相葉雅紀)の妹・七菜(有村架純)の元恋人役だ。彼女のことをずっと見つめてくる奇妙な青年という役柄だった。彼は七菜のことを見守っているのか、それともストーキングしているのか。倉田家に起きる不可解な事件のこともあって、段々と怪しく感じてきてしまう。あまり話すシーンはないが、佇まいと演出によって作品の不気味さを際立たせる重要な役割を果たした。





















