『DOPE』中村倫也の絶望の表情に息を呑む 事件の裏に潜む“ジウ”井浦新の暗躍 

『DOPE』陣内の衝撃的な過去が明らかに

 銃を構えた才木の手は震え、最後の一手に出ようとするが、銃は奪われてしまう。袋小路に追い詰められた才木たちの前に、ようやく陣内が現れる。瞬時に状況を把握すると、その超人的な身体能力で犯人を圧倒し、トドメを刺そうとする陣内。しかし、命乞いをするどころか「殺してほしい」と懇願する犯人の言葉に、陣内は「殺してほしいなら殺してやらねぇ」と吐き捨て、現場を立ち去ってしまう。助けるでも、殺すでもない陣内の残酷さと優しさの輪郭が、ここでもまた滲む。

 事件の裏で、綿貫が抱える家庭の事情も描かれた。祖母の介護に追われ、背負いきれない現実を抱えている彼女の苦悩。葛城もまた、娘との関係が思うように進まず、特捜課という非日常の裏に、誰もが現実の“家族”を背負っていることを改めて突きつける。そして才木は、母をどう守るのかという重い問いと向き合い続けている。

 逮捕された犯人の尋問では、DOPEの供給源がじわじわと輪郭を現す。いつも大麻を買っている売人から受け取ったと口を開く犯人。陣内が警官に扮したジウから受け取った「ジャオランバイニンソウ」と書かれた謎のメモは何を意味するのか。背後には広域指定犯罪組織である中華系マフィア“郊狼”の存在が浮かび、陣内と才木は雀荘へと足を運ぶことになる。

 才木の未来予知がここでも発動し、郊狼の構成員から銃を奪うことに成功するが、これすらもジウの計算の内だった。敵対組織の弱体化はジウの狙いだったのだ。「今度は俺のために動いてくれよ」。陣内が残したその言葉の不気味さが、才木たちの前に新たな火種を落としていく。

 そして陣内が帰宅したその先に描かれたのは、血だまりの中で倒れる妻・香織(入山法子)の姿だった――。それは現在のことではなく、7年前の出来事。自分が飲み会から戻ったとき、香織はすでに命を落としていた。このシーンで、静かに肩を震わせ、声にならない嗚咽を漏らす陣内を演じた中村倫也の表情には、言葉以上に深い絶望と人間味が滲んでいて、思わずこちらまで息を呑んでしまった。どこか冷たく達観して見える陣内の内側に、まだ誰にも癒されていない傷があることを、あの一滴の涙がすべて物語っていた。彼にとって才木の未来予知は、ただの特殊能力ではない。妻を殺した真犯人を突き止めるために必要な“鍵”なのだ。

 「異能力バディもの」という枠を超えて、才木と陣内の生き様は第2話でより複雑さを増した。相反する正義、ジウが操る謎の駆け引き、誰もが抱える守りたいものと失ったもの。第3話で、この運命がどこへ向かうのかを見届けたい。

『DOPE 麻薬取締部特捜課』の画像

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』

木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。

■放送情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
挿入歌:King & Prince「I Know」(UNIVERSAL MUSIC)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる