広瀬すずから當真あみへ 『ちはやふる-めぐり-』で受け継がれる“ヒロインの煌めき”

當真あみが広瀬すずから継承したヒロイン力

 そして、當真のヒロインとしての素質に眩しいほどの光を差し込んだのが、7月に公開される映画『この夏の星を見る』でも脚本を務める森野マッシュのデビュー作であり、「第47回創作テレビドラマ大賞」にも選ばれた『ケの日のケケケ』(2024年/NHK総合)だ。

 當真が演じた高校生の少女・片瀬あまねの体感する世界は、過剰に刺々しい。それは彼女が、光や音、特定の食べ物を強い刺激として感じてしまう“感覚過敏”という症状を持っているからだ。本作では、そんなあまねが“感覚過敏”に苦しみながらも、同じく部活に入りたくないという同級生・琥太郎(奥平大兼)とともに日々をご機嫌でいるために奮闘する様子が、誠実に繊細に描かれていく。
 
 琥太郎を柔らかくも芯のある芝居で支えた奥平大兼とともに、あまねが日常で見せる自然な表情を當真は愛らしくコミカルに変化させていく。特に夕日が暮れる学校の駐輪場で自身の過去をお互いに打ち明けるシーンには、ままならない世界を懸命に生きる若者たちの葛藤がありのままに映し出されており、ふたりが見せる煌めきに、一瞬たりとも目を離せなかった。さらに、母・響子(尾野真千子)に自身の症状を涙ながらに訴える場面では、今まで胸に秘めていた切実な思いがとめどなく溢れ出す。あまねの心がひび割れて決壊してしまう瞬間を、“感覚過敏”を肌で感じながら芝居に閉じ込める姿を観て、彼女の繊細な演技に圧倒されてしまった。

 過去のインタビューでは、『水は海に向かって流れる』で共演した広瀬すずの芝居が放つエネルギーに大きな刺激を受けたと語っていた當真(※)。そんな彼女が広瀬の代表作とも言える『ちはやふる』の主演を継承して、瑞沢高校のOBとして舞い戻ってきた広瀬と共演を果たすことは、まさに時代を超えて想いがめぐる『ちはやふる』にも重なるストーリー性を感じてしまう。

 千早から新たな主人公・藍沢めぐるへと受け継がれる“瑞々しい煌めき”。それはきっと、広瀬すずから當真あみへと継承される“ヒロインとしての煌めき”とも言えるだろう。

参考
※ https://eigachannel.jp/j-movie/124240/4/

『ちはやふる-めぐり-』の画像

ちはやふる-めぐり-

2016年から2018年にかけて公開された映画『ちはやふる』シリーズの10年後の世界を舞台にした作品。廃部の危機にある梅園高校・競技かるた部の藍沢めぐるが、顧問として赴任してきた大江奏と出会い、成長していく。

■放送情報
『ちはやふる-めぐり-』
日本テレビ系にて、7月9日(水)スタート 毎週水曜22:00〜放送
出演:當真あみ、原菜乃華、齋藤潤、藤原大祐、山時聡真、大西利空、嵐莉菜、坂元愛登、高村佳偉人、橘優輝、石川雷蔵、瀬戸琴楓、髙橋佑大朗、藤枝喜輝、大友一生、漆山拓実、上白石萌音、内田有紀、要潤、榎本司、富田靖子、高橋努、波岡一喜、髙嶋政宏
ショーランナー:小泉徳宏
監督:藤田直哉、本田大介、松本千晶、吉田和弘
脚本:モノガタリラボ(小坂志宝、本田大介、松本千晶)、金子鈴幸
プロデューサー:榊原真由子、巣立恭平、中村薫、平田光一
企画・プロデューサー:北島直明
チーフプロデューサー:松本京子
音楽:横山克
主題歌:Perfume「巡ループ」(UNIVERSAL MUSIC LLC)
制作協力:ROBOT、ウインズモーメント
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/chihayafuru-meguri/
公式X(旧Twitter):https://x.com/chihaya_koshiki

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