新原泰佑が向き合う“俳優”としての在り方 「愛に溢れた作品にたくさん出会えている」

2020年に俳優デビューした新原泰佑は、キャリア数年ながら、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で北条義時(小栗旬)とのえ(菊地凛子)の息子・政村役で印象を残し、2025年1月期の日曜劇場『御上先生』(TBS系)ではキーパーソンを好演。舞台『インヘリタンス-継承-』と初主演を務めた『球体の球体』にて2024年度の第32回読売演劇大賞杉村春子賞を受賞。現在はミュージカル『梨泰院クラス』が上演中と、すでに推し量れぬ才能を見せている。
そんな新原の映画初主演作である『YOUNG&FINE』が公開。『ビリーバーズ』などで知られる山本直樹の青春漫画を原作とし、彼女との最後の一線をなかなか越えられず悶々とした日々を過ごす男子高校生と、彼の家に下宿することになった女性教師の関係を中心に進む群像劇だ。主人公の勝彦を「不思議なキャラクター」「すごく好き」と振り返る新原に、本作の裏話のほか、あらためて俳優としての向き合い方を聞いた。(望月ふみ)
「現場に行く前も現場でも考えるタイプ」

――新原さんが演じる主人公の勝彦は愛らしいキャラクターですね。
新原泰佑(以下、新原):勝彦は、どこにでもいるようなただの少年なんだけど、地元から出ないで、鬱屈とした感じと悶々とした思いを抱え続けてます。でも同時にのうのうと生きていて、周りの時間に追い越されちゃう感じが、僕はたまらなく好きでした。
――「追い越されちゃう」とあったように、感情は動いているのだけれど、彼自身は留まっていて、周りが動いていく主人公なのが面白いです。
新原:アンバランスな感じが、不思議なキャラクターというか。歯がゆい感じも面白かったです。普通だと「今の言えよ!」とか「動けよ!」みたいに思ってしまうようなところでも、時が過ぎていくのをただ見守ることができる作品なんですよね。観に来てくださった皆さんとともに、彼らの時間を共有する感じ。その時間が尊いなと、僕は感じました。

――演じるにあたって難しかったことはありますか?
新原:現場に行く前も現場でも、僕は結構考えるタイプなんですが、今回は勝彦の「ぬぼ~」とした感じというか、ふわふわした感じを出すために、あえてなにも考えないようにしました。その場で思ったこと、相手から感じ取った感情をセリフに乗せるといった作業です。それが僕の中では挑戦だったかなと思います。

――よく覚えている裏話がありましたら教えてください。
新原:全部覚えているんですけど、キャンプのシーンがとても楽しかったので特に覚えています。あとは勝彦が飼っていたヘビのスネ夫も本物のヘビで、いい芝居をしていました。
――あれは本物のヘビだったんですか? 勝彦のパンツに入り込んでしまうシーンのヘビも!?
新原:本物ですよ。
――そうなんですか!
新原:すごいなと思ったのが、勝彦の家で、水槽の中でスネ夫がいいポーズをしていると、カメラマンさんが「今いい!」と言って、休憩中でもものすごい勢いで走って来るんです。この作品は、小南(敏也)監督の「やりたい!」という気持ちと愛が溢れている現場だったのですが、スタッフのみなさんもそうで、カメラマンさんのその姿もよく覚えています。

――作品ごとに違う顔を見せてきている新原さんですが、この『YOUNG&FINE』もまた全く違った顔が見られます。この作品は、劇場公開の前に、MOOSIC LAB 2025などで上映があったので、すでに観てくれている方もいます。いい意味で裏切られて「驚いている」といった感想も届いているのでは?
新原:そうですね。僕のファンだと言ってくださる方でも「また初めて観る顔でした」と言ってくださる方が多くてすごく嬉しいです。この作品は、ちょっと人によっては刺激的に思う映像もあるので、お手紙やDMを拝見させていただいていると、「びっくりしました」という感想もあります。2024年にW主演をさせていただいたドラマ『25時、赤坂で』(テレビ東京/駒木根葵汰とのW主演)というBL作品からファンになってくださった方は、特に驚かれる方もいらっしゃったようです。由岐と勝彦のどちらも、時間も気持ちもいろんなものを注いで一生懸命生き抜いた役です。『YOUNG&FINE』もとても大切に演じた作品なので、何かを感じて、好きになってくれると嬉しいなと思っています。




















