綾瀬はるかが考える“自分らしさ”といつか来る日への思い 「笑って最期を迎えるのが理想」

6月21日から放送開始となる土曜ドラマ『ひとりでしにたい』(NHK総合)は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したカレー沢薫の同名漫画を、NHK大河ドラマ『青天を衝け』やNHK連続テレビ小説『朝が来た』を手がけた大森美香の脚本でドラマ化する“終活”コメディ。推しのアイドルと飼い猫を生きがいに日々を謳歌する30代後半独身の主人公・山口鳴海(綾瀬はるか)が、伯母の孤独死をきっかけに、よりよく死ぬためによりよく生きる方法を模索する姿を描く。自身も鳴海と同じ年齢の頃に”死”を意識したという綾瀬に、主人公に深く共感した点や20代や30代の頃を振り返って思うこと、そして理想の最期まで、人生について語ってもらった。(苫とり子)
綾瀬はるかが“推し活”をするなら?

――本作への出演の決め手を教えてください。
綾瀬はるか(以下、綾瀬):オファーをいただいてから原作漫画を読んだのですが、共感できることがすごく多かったんです。30代後半の女性が抱く漠然とした不安や、世間との価値観のズレに悩む気持ちなど、「自分もそうだったな」と思うことが多くて。それに何より、鳴海のコロコロと変わる表情がとっても魅力的なんです! 推し活でキラキラした表情をしたかと思えば、突然鬼の形相になったりと、奮闘している姿に元気をもらえます。大森(美香)さんが作成されたプロットも読んで、すごく演じたいと思いました。
――鳴海を演じるにあたり、心がけたことはありますか?
綾瀬:脚本が原作の魅力をそのままに表現されていたので、現場に漫画を持ち込んで「この時、鳴海はどういう表情をしてたかな?」と逐一確認するようにしました。一方で、漫画では成立しているけど、実写にするとやり過ぎに見えてしまう部分もあるので、リアリティを大事にしつつ、どこまで原作の要素を取り入れるかは現場で監督と相談しながら演じています。

――鳴海はアイドルを追っかけていますが、綾瀬さん自身には推しはいますか?
綾瀬:今までは推しを持ったことがない人生だったんですが、鳴海を演じたことで、「推しがいる生活ってこんなにも楽しいんだ」という気づきを得られました。ちなみに、鳴海の同僚・松岡陽子役の岸本鮎佳さんはプロレスを推しているみたいで、現場でよく推し活の話を聞きながら、「私も推しを探してみようかな」って話しています。今パッと思いつくので言うと、食べ物を推してみたいです。朝ごはんが美味しいところを見つける“朝推し活”とかいいかも(笑)。

――私も推し活をしている一人として綾瀬さんの演じる“推し活女子”がすごくリアルだなと思ったので、推しがいないと聞いて驚きました。どのようなリサーチをされたのでしょうか?
綾瀬:自分とは違う部分を持っている役を演じる時は身近な人からヒントをもらっています。今回もヘアメイクを担当してくださっている方が推し活をしていて、彼女のお話がすごく参考になりました。彼女いわく、推し活してる人はみんな乙女なんだそうです。なるほど〜って目から鱗でしたね。鳴海が会社にアイドルのグッズをたくさん持ち込んでいるのも、私としては「いいの!?」って感じだったんですが、「推し活してる人なら普通だよ」って言われて驚きました(笑)。

――ドラマでは、鳴海が推しの映像を観ながら歌って踊るシーンがあります。練習はいかがでしたか?
綾瀬:ダンスの経験はほとんどなかったんですが、キャッチーで覚えやすい曲だったので、練習の時からすごく楽しかったです。難しいところは、鳴海の同僚・那須田優弥役の佐野勇斗さんに頼んでお手本を見せてもらいました(笑)。佐野さんは振り付けもすぐに覚えちゃって、さすが現役のアイドルだなって思います。
――佐野さんとは今回が初共演ですが、どのような印象を持たれましたか?
綾瀬:佐野さんも原作を大事にされていて、那須田くんのどこか冷めている感じもすごく忠実に表現されています(笑)。他にもたくさん面白いところがあって、器用で熱くて素晴らしい役者さんだなと思いました。