『UVERworld THE MOVIE』で語られる25年の歴史とバンドの未来 最高の4DXライブシーン

『UVERworld THE MOVIE』はファン必見

 『UVERworld THE MOVIE 25:to EPIPHANY』は、ただのライブ映画じゃない。結成25年、デビュー20年を走り続けてきたバンドの過去と現在と未来を描くドキュメンタリー作品だ。描かれるのは2025年6月14日・15日に東京ドームで開催された『UVERworld LIVE“EPIPHANY”at TOKYO DOME』のライブと、オーストラリアで新たに撮影された映像。両者が交錯しながら進むスリリングな映画を、2DとULTRA 4DXの二つのバージョンで体感した、その記録をここに記そう。(以下、ネタバレ含む)

TAKUYA∞のモノローグからライブシーンへ

 「俺の心の中にもUVERworldがいて……」

 オーストラリアの海岸線を走る車を俯瞰でとらえた映像と、TAKUYA∞のモノローグ。ロードムービーのようなオープニングからいきなり引き込まれる。運転するのはTAKUYA∞で、車内にはメンバー6人だけ。きっと昔はこうやって、機材車を運転して日本中を走り回っていたのだろうーー過去と現在が交錯する感覚をおぼえるうちに、荒々しい断崖に作られたステージで演奏が始まる。曲は「NO MAP」。暗い海と空が溶け合い、バンドはまるで観客が目の前にいるかのように熱演する。タイトルバックに大歓声が重なる。そしてシーンは東京ドームへーースピーディーなカット割りで魅せる、見事なオープニングだ。

 「PHOENIX AX」からスタートする東京ドームでのライブ映像は、4Dバージョンで体感すると迫力が数倍になる。スクリーンが一気に左右に広がり、ドームの観客席のど真ん中にいるような感覚になれる。遊園地のアトラクションのように椅子が動き、背中にはドラムのキックに合わせて振動が走る。ステージで炎が噴き上がる瞬間、熱い風が頬をなでて吹き抜けたのには驚いた。目の前でTAKUYA∞が歌い、左右のスクリーンで克哉と彰がギターを弾いている。すごいリアリティだ。

 筆者は東京ドームの現場でライブを観ているが、花道とセンターステージにLEDビジョンを仕込み、映像やリリックが絶え間なく流れる演出は、この映画で初めてじっくり観ることができた。ドローンを駆使してメンバーの表情に肉薄するのも、映画ならではの迫力だ。ライブのハイライトの一つ、メンバーがバンドを始めた当初に手にしていた楽器を持ち寄って演奏する「CHANCE!」は、鮮明な映像のおかげで、それぞれの楽器に込められた念のようなものすら感じ取れる。映像のクオリティがハンパない。

 オーストラリアでの映像をふんだんに使用したミュージックビデオ仕立ての「If...Hello」からドームでのライブ映像「言わなくても伝わる あれは少し嘘だ」へ、異なるシチュエーションをカットインしていく映画的手法が冴えわたる。「UNKNOWN ORCHESTRA」から始まる、トロッコでの場内一周の熱狂もばっちりカメラに収められている。センターステージに戻り、TAKUYA∞が10メートルはあろうかというやぐらの上で歌う「Touch off」は、ナマで観ても映像でも観てもやはり怖い。そして凄い。「Bye-bye to you」を歌う前の、TAKUYA∞の熱いMCもしっかり入っている。映画館での劇的な音響効果が、そのメッセージを何倍の強さにも増幅する。

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