トム・フェルトンが再び“マルフォイ”に 舞台版『ハリー・ポッターと呪いの子』の“魔法”

イギリスの俳優トム・フェルトンが舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で再びドラコ・マルフォイを演じることが発表され、大きな話題を呼んでいる。彼が最後にドラコを演じたのは、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011年公開)での老けメイクを施された未来のドラコ役。つまり、本格的な「生きた」ドラコを演じるのは、実に約15年ぶりということになる。

15年の時を経ての再演に、ハリー・ポッターのファン、通称「ポッターヘッズ(PotterHeads)」たちは大熱狂。映画シリーズのオリジナルキャストが舞台に出演するのは初めてであることに加え、フェルトンにとってはこれがブロードウェイデビューとなる機会というのもあって、このニュースは瞬く間にファンの間を駆け巡り、世界中で喜びを生んだ。
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、原作者J・K・ローリングが物語創案に関わった公式の続編であり、ハリー、ロン、ハーマイオニーの次世代ーーすなわち子どもたちが主役となる物語である。同時に、彼ら大人たちもまた、かつてとは違う立場で物語に深く関与していく。トムが演じたドラコ・マルフォイもその一人であり、彼の息子スコーピウス・マルフォイと、ハリーの次男アルバス・セブルス・ポッターの友情が物語の核となる。

本作のドラコは、かつてのような誇り高き純血主義者の少年ではない。『呪いの子』の劇中に、「学生時代、君たちが羨ましかった」と、ハリーやロン、ハーマイオニーの3人に打ち明ける場面がある。仲間とともに困難に立ち向かう彼らの絆を、孤独な少年だったドラコは密かに羨んでいたのだ。
これまでのシリーズでは一度も描かれなかった内面が彼自身の言葉によって明らかになるストーリーに惹きつけられ、J・K・ローリングという作家が得手とする緻密に紡がれた「人間の多面性、複雑性」をそこに見出した観客も多いことだろう。