『YAIBA』『ぬ~ベ~』が令和に復活 アニメの“リメイクブーム”に20代ライターが感じたこと

20代ライターが見たアニメのリメイクブーム

 同じくリメイク作品である現在放送中の『真・侍伝 YAIBA』は、リメイクならではの“改変”がふんだんに加えられている。東京の風景が映るシーンでは、立ち並ぶ高層ビルや東京スカイツリーが描かれ、時代設定が旧TVアニメ版とは違い“令和”であることを強調。主人公・鉄刃が旅する最中に訪れた名古屋も、約30年前とは大きく変わった現代の街並みがリアルに再現されていた。

 一方、刃の父・鉄剣十郎のシーンは、原作漫画『YAIBA』と比べると減っている。いわゆる“温泉回”となった第5話では、原作ではあったはずの剣十郎の登場シーンが丸々カットされていた。剣十郎の言動は、女湯の“のぞき”のようにセクハラと捉えられるものが多く、今の時代にそぐわないからだろう。より現代にフィットし、旧TVアニメ版を観ていない若年層にも受け入れられるリメイク作品をアニメスタッフがつくろうとしているのがうかがえる。

 そして、『真・侍伝 YAIBA』の真骨頂であるアクションシーンは、今期アニメの中でも屈指の作画が目を引く。第11話で描かれた刃と鬼丸猛のバトルシーンは、画面から伝わってくるあまりの迫力にぞくぞくした。とりわけ、刃が新技「かみなり斬り」を繰り出すシーンは圧巻。アニメスタッフに深々と頭を下げて感謝したくなるほど、見ごたえ抜群の“超作画”になっているのだ。

 また、『真・侍伝 YAIBA』は構成も大胆にアレンジされている。原作の後半に登場するエピソードである宮本武蔵と佐々木小次郎の過去編を、第7話と第8話で描いたのだ。リメイク版から観始めた層は違和感なく、原作を読んでいるファンはリメイク版との“違い”を楽しめるような構成になっている。

 『真・侍伝 YAIBA』は、令和版として大幅にアップデートされ、旧TVアニメ版を視聴していた層だけに絞らない、間口の広いアニメに新しく生まれ変わった。“昔”と“現代”が絶妙に融合したリメイク作品は、若年層でも十分楽しめる。そして、「お呼びでないのではないか」という不安を払拭するほど、実は年代を問わず多くの人に愛されるよう、開かれているのだ。

■放送情報
『真・侍伝 YAIBA』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜17:30〜放送(※一部地域を除く)
キャスト:高山みなみ(鉄刃役)、石見舞菜香(峰さやか役)、細谷佳正(鬼丸猛役)、小西克幸(鉄剣十郎役)、諏訪部順一(宮本武蔵役)
原作:青山剛昌『YAIBA』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
監督:蓮井隆弘
シリーズ構成:待田堂子
キャラクターデザイン・総作画監督:亀田祥倫
サブキャラクターデザイン・メインアニメーター:前並武志
特技監督:桝田浩史
美術監督:竹田悠介 (Bamboo)
美術設定:藤井一志
色彩設計:橋本賢
3D監督:中村幸憲
撮影監督:福士享
編集:廣瀬清志
音楽:やまだ豊、出羽良彰
音響監督:山田陽
音響効果:森川永子
アニメーションプロデューサー:岡田麻衣子
アニメーション制作:WIT STUDIO
©青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
公式サイト:https://www.yaiba-pr.com
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/YAIBA_PR
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@yaiba_pr

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