『ジークアクス』の最終的な着地点を考える アムロ登場の可能性とニュータイプ論の行方

『ガンダム』シリーズの最新作として、大きな話題を呼んでいるTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)。続編が制作されるのかどうかは分からないが、4月から放送が始まった第1期はひとまず最終回に近づいている。
誰も予想できない展開のオンパレードだった物語は、一体どんな場所にたどり着くのか……。本稿では視聴者たちが同作に寄せる期待や不安を取り上げつつ、最終的な着地点について考えてみたい。
簡単に振り返っておくと、同作が描いているのは、初代『機動戦士ガンダム』(以下、ファースト)とよく似ているけれど決定的に違うことが起きた世界だ。1年戦争ではアムロではなくシャアが「白いガンダム」に乗り込み、紆余曲折を経てジオン軍が地球連邦軍に勝利したことになっている。
それから約5年後、スペースコロニーのサイド6で平凡な暮らしを送る女子高生の“マチュ”ことアマテ・ユズリハは、運び屋の少女・ニャアンと出会う。そして「GQuuuuuuX」(ジークアクス)という謎めいたモビルスーツのパイロットとなり、戦いの日々に巻き込まれていく。
当初はマチュ、ニャアンとミステリアスな少年・シュウジを加えた3人を中心とした物語が描かれていたが、7話目にして彼女たちの関係は破綻。そこからはサイド6を飛び出し、マチュはシャリア・ブルのもとで、ニャアンはキシリア・ザビのもとで戦うようになった。
アムロの登場はあり得る?
ここから先の展開は未知の領域というほかないが、視聴者のあいだではさまざまな期待が膨らんでいるようだ。たとえばSNS上では、アムロが何らの形で登場するのではないかという声が上がっている。
『ジークアクス』においてはシャアが「白いガンダム」に乗ったため、アムロは地球連邦軍に現地徴用されておらず、おそらくパイロットにもなっていない。作中では一切その行方が描かれていないが、シャアとララァが登場している以上、アムロの登場に期待がかかるのも当然だろう。
また、実はアムロがハロに干渉しているという説も。同作のハロはマスコットキャラの枠を超えた存在感で、積極的にマチュのことをサポートしている。なぜか「ジークアクス」の仕組みを知っていることについても、その背後にアムロがいると考えれば納得だろう。
さらに第9話では、“アムロの面影”を感じさせるような描写が登場していた。それは強襲揚陸艦「ソドン」の独房に閉じ込められていたマチュが、何者かの手引きによって脱獄するシーンでのこと。
マチュのスマホに謎のメッセージが届き、「ソドン」から脱出するまでの道のりを示したのだが、これは『ファースト』の最終話でアムロが示したニュータイプ能力を彷彿とさせる。同エピソードにて、アムロは宇宙要塞ア・バオア・クーからホワイトベースの仲間たちを脱出させるため、テレパシーのような力で逃げ道を告げていくのだった。
シャアとララァの関係性
他方で視聴者の期待といえば、シャアとララァの関係性にも熱い視線が向けられている。『ジークアクス』第9話において、ララァは「向こう側の夢」が見えると語っており、作品がマルチバース的な世界観で成り立っていることを仄めかしていた。
ララァいわく、向こう側の世界では「とても若いジオンの将校」が娼館で働く彼女を見請けして連れ出していき、宇宙でともに戦うことに。しかしその将校は「連邦軍の白いモビルスーツ」と戦って落命。そして夢のなかで何度やり直しても、いつも白いモビルスーツが将校を殺してしまうのだという。
言うまでもなくここで示されているのは、シャアとアムロとの関係だ。また、ララァがシャアを救うために何度も世界をやり直している……という壮大なストーリーも暗示されている。『ファースト』では悲劇の運命を辿った3人を、『ジークアクス』では別の形で描き出そうとしているのかもしれない。