『べらぼう』岡山天音の魅力が凝縮された恋川春町 皮肉屋なのにかわいさもある絶妙キャラ

岡山天音の魅力が凝縮された恋川春町

 シュールといえば、岡山天音主演の特集ドラマ『どうせ死ぬなら、パリで死のう。』(NHK総合)もシュールで、実在の悲観主義者(ペシミスト)エミール・シオランの人生を全否定する言葉を生きる支えとする不器用でネガティブすぎる男の物語だった。

 岡山が演じた主人公の吉人は大学の非常勤講師で、姉に頼まれて甥っ子の幸太を預かることになるが、幸太は失踪。どうにか見つけ出すと「ここじゃないどこかに行きたい」とすでに人生に絶望している様子で、10歳の小学生男子とは思えない悲観的な言葉を発する。吉人が専門とするエミール・シオランに興味を持ち、悲観主義を通して2人は会話を楽しむようになる。絶望を感じつつも、希望がないわけでもない。

 悲観的な中にも、ほのかな温かさや希望が感じられて、不器用で生きづらさを抱えていても、日常の中に優しい気持ちになれるものが見つけられたらいいのかもしれない。シュールで、かわいくて、あれこれ考えたくなるドラマで、何より主人公の吉人を演じた岡山天音が素敵だった。

 本作では頭の回転が早く、真面目だけど、不器用な春町役で思う存分、魅力を発揮してくれるはず。めんどくさいけど、憎めなくて愛される春町の登場にこれからも期待したい。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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