『あんぱん』“草吉”阿部サダヲの過去が明らかに 朝田家に残された“生きろ”のメッセージ

それでも、草吉がパン窯に残していった乾パンのレシピで、第10週のサブタイトル「生きろ」の重みがずしんとのしかかってくる。それは草吉からの強烈な「生きろ」というメッセージだ。それを「戦争には関わりたくない」と乾パン作りに反対していた蘭子(河合優実)も受け取ったのだろう。のぶが家に帰ると、蘭子が羽多子とメイコ(原菜乃華)の乾パン作りを手伝っていた。正しいか、間違っているかは分からない。ただ、今を生き抜くために乾パンを作り続ける。

一方、草吉が出ていったことに対して責任を感じるのぶに、釜次がもう一つ教えてくれた。風来坊の草吉が10年以上も御免与町にいた理由。それは、幼い頃ののぶに「おさらばらあて、嫌や!」と引き止められたからだった。「どの町でもそんなこと言われたことなかったから、こそばゆくてさ」と、草吉は少し恥ずかしそうに笑う。もしかしたら草吉はずっと過去を悔いていて、それゆえに人と深く関わることを避けていたが、どこかで愛を求めていたのかもしれない。だから、朝田家に家族の一員として受け入れてもらい、のぶだけではなく、みんなに必要とされる日々に草吉なりの幸せを感じていたのではないだろうか。
当初は草吉と折り合いが悪かった釜次にとってもすっかりなくてはならない存在となっており、「まあ、あいつのことや。また風向きが変わったら、ふらっと戻ってくるじゃろ」と願望めいた言葉を口にする。戦争という風が草吉を連れていった。その風が止んだとき、つまり戦争が終わった後、何がしたいかをのぶもようやく見つける。冷たい乾パンではなく、ホカホカのあんぱんをみんなと一緒に食べること。どうかそのときは、みんなの中に草吉の姿がありますように。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















