元“演出志望”見上愛、主演と助演で見せる異なる輝き 『かくかくしかじか』でも健在の演技力

見上愛は、不思議な光を放つ芝居を見せてくれる俳優だ。主演を務めた作品では、眩いほどの光で観ている人々の目を惹きつける。一方で、主演の脇を固める助演キャストとして参加した作品では、闇夜を照らす月の光のように、夜空に馴染む落ち着いた煌めきを放つ。
その芝居の魅力は、近年のNHK制作ドラマでも真価を発揮しつつある。2024年に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』では、初登場時から心身ともに大きく変化していく藤原彰子役での演技が脚光を浴びると、2026年度前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』では、W主演となるヒロインのひとり・一ノ瀬りん役に抜擢される。朝ドラ初出演での初主演。見上は今まさに、凄まじいスピードで国民的ヒロインへの階段を駆け登っている真っ最中だ。
見上愛が“表現者”として大切にしていること 「ずっと楽しみながらお仕事ができたら」
佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS)とともに地上波ドラマ初主演を務めた『liar』(MBS/TBS)をはじめ、映画『…そんな彼女が地上波ドラマで主演を務めたのは2度。なんとどちらもW主演作品というのだから、“W主演”とは不思議な縁がある。
佐藤大樹とW主演を果たしたドラマ『liar』(2022年/MBS・TBS)では、思ったことを遠慮なく口にする同僚の市川(佐藤大樹)に、思わぬかたちで恋心が芽生えてしまったOL・美紗緒を演じた。ミステリアスな役柄のイメージも強いが、本作品では思わせぶりな男の嘘に翻弄される等身大なキャラクターを、素直さと強情さに揺れる眼差しで表現した。
対して、衝撃的なストーリーが話題となった青木柚とのW主演ドラマ『往生際の意味を知れ!』(2023年/MBS・TBS)では、髪を金色に染めて、魅惑的なヒロイン・日下部日和に扮する。思わずドキッとさせられる不敵な笑みを湛えた表情に反して、内心は母親への憎しみが煮えたぎっている難しい役どころ。しかし、彼女のアンニュイな表情と物憂げに揺れる瞳は、ミステリアスな役柄に艶かしさと危うさを醸し出させる。序盤は本音と建前を使い分けて淡々と行動するが、ドラマの後半にかけては、もはや何色かも判別できないほどに清濁入り混じった感情を大胆に発散させていく渾身の芝居が光った。




















