興収で読む北米映画トレンド
『サンダーボルツ*』北米V2 MCUでは平均以上の好推移&米ディズニーにとっても成功例に

5月9日~11日の北米映画市場は、新たな大作映画の登場しない静かな週末となった。
週末ランキングの第1位は、前週に引き続きマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『サンダーボルツ*』。3日間の興行収入は3310万ドルで、前週比マイナス55.5%という推移だ。

The Hollywood Reporterによると、MCU作品の2週目の平均下落率はマイナス57%。『サンダーボルツ*』の数字は平均よりも優れているほか、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025年)や『マーベルズ』(2023年)、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023年)などよりもはるかに高いホールド力を示した。
北米興収は1億2845万ドル、世界興収は2億7215万ドル。製作費1億8000万ドルの回収にはさらなる成果が必要だが、批評家・観客からの好評を受けての長期的なヒットもありうる。北米では公開直後に最大のサプライズを解禁することで、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ(原題)』につながる布石を打ち、映画への興味をより高める作戦にも出ていた。
マーベル・スタジオを擁するウォルト・ディズニー・カンパニーも、『サンダーボルツ*』をひとつの成功として捉えている模様。ボブ・アイガーCEOは投資家向けのカンファレンスにて、ディズニープラスのサービス開始以降、ディズニーが量を重視する方針を採っていたことを認め、「量が必ずしも質につながるわけではないことを学んだ」と語った。

「我々はたくさんの作品を作りすぎたことで焦点を失っていました。統合をおこない、映画に集中してもらうことで、マーベルはよりクオリティの高い結果を出せると信じています。『サンダーボルツ*』はその最初にして最良の例だと考えています」
MCUは次回作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』を7月25日に日米同時公開する。今夏の流れが、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に向けてのひとつのカギを握ることになるだろう。




















