STARTOの“青”が春ドラマに集結! 伊野尾慧、松田元太、渡辺翔太、正門良規が放つ存在感

松田元太ら、STARTOの“青”が春ドラマに集結

 2025年春、STARTO ENTERTAINMENT所属のタレントたちが各ドラマで重要な役どころを担っている。そのなかでも特に目を引くのが、「青」をメンバーカラーに持つ4名――Travis Japanの松田元太、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧、Snow Manの渡辺翔太、Aぇ! groupの正門良規だ。それぞれまったく異なるジャンルの作品で主演または重要な役割を担い、存在感を放っている。

 彼らは、グループでの立ち位置とは異なる“俳優”としての顔を見せながら、それぞれの作品を彩っており、嵐の大野智や元Sexy Zoneの中島健人といった先輩に続く、俳優業と親和性の高い青メンとしての系譜も感じさせる存在だ。

『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』伊野尾慧

『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』©︎カンテレ

 『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』(カンテレ・フジテレビ系)で伊野尾が演じる並川幹太は、亡き妻となぜか“1日3分だけ再会できる”という不思議な現象に翻弄される人物。幹太は、自分の中に沸き上がる疑念や悲しみ、不安を言語化できず、ただ妻の姿に触れることで感情のバランスを保っている側面があり、パラレルワールドという非現実の中で、現実の痛みが浮き彫りになる。“言葉にならない思い”を抱えたまま、日常を続ける人は少なくない。その意味で、伊野尾の静かな演技は、心の奥に沈殿した感情に静かに寄り添うものだ。彼の持つ「ふわっとした雰囲気」や「適当キャラ」というイメージが、むしろ幹太の“曖昧さ”を肯定する力に変わっていた。

『人事の人見』松田元太

『人事の人見』©︎フジテレビ

 松田が主演を務める『人事の人見』(フジテレビ系)の主人公・人見廉は、常識外れの言動を繰り返す一方で、誰よりもピュアな「人を助けたい」という想いを持っているキャラクターだ。ラップ対決で社内の問題を解決したり、脱出ゲームでパワハラを暴いたりと、その突飛な手法には戸惑いの声もある。しかし、その背景には、合理性や効率性に偏りすぎた現代の働き方に対する強烈なカウンターが潜んでいる。

 現代社会では、非効率な人間は排除されやすい。「空気が読めない」「マナーがなっていない」「能力が足りない」——そう断じられた時点で、チャンスは遠のく。しかし、人見はそのすべてを備えていないがゆえに、誰よりも困っている人の側に立つ。松田自身の“天然キャラ”や“努力家”というパブリックイメージが、このキャラクターに説得力を与え、視聴者に「そういう存在がいてもいい」と思わせてくれるのだ。人見の存在は、何かをうまくこなせないことで否定されがちなこの社会において、それでも“誰かを幸せにする力”が確かにあることを教えてくれる。

『なんで私が神説教』渡辺翔太

『なんで私が神説教』©日本テレビ

 『なんで私が神説教』(日本テレビ系)で渡辺が演じる数学教師・浦見光は、いわゆる“空回り系男子”だ。生徒思いで、前のめり。だけどどこか抜けていて、それが憎めない。正論で殴るのではなく、寄り添うように誰かのそばにいる。そんな彼の在り方は、SNS時代の「共感消費」ではなく、「関係性の継続」を大事にする現代の価値観と呼応しているようにも思える。Snow Manでの渡辺は、“美容番長”としてのストイックな一面と、素の飾らなさが同居するメンバーだ。バラエティでの素直な発言や、仲間のために矢面に立つ場面も多く、「裏表のない人柄」として知られる。そんな彼が演じる浦見は、“先生”としても“人”としても、ごく普通で、だからこそ温かい。

 社会的な立場ではなく、人間性そのもので誰かに必要とされる。そんな教師像を、渡辺は誠実に、そして無理のない自然さで体現している。感情を煽らず、控えめな演技で引き出したリアリティのある優しさが、この作品の空気を支えている。

『ムサシノ輪舞曲』正門良規

『ムサシノ輪舞曲』©︎テレビ朝日 ©︎ストームレーベルズ

 現在放送中の『ムサシノ輪舞曲』(テレビ朝日系)で主演を務める正門が演じているのは、老舗蕎麦屋の跡取り息子・阿川龍平。隣に住む10歳年上の女性・武蔵原環(高梨臨)に幼い頃から淡い想いを寄せてきたが、家族同然の存在として扱われてきたため、その気持ちを胸に秘めたまま大人になった。物語は、環のもとに現れた恋のライバルの存在を契機に、龍平が長年押し殺してきた感情と向き合い始める姿を描いていく。正門が演じる龍平は、どこか不器用で真っ直ぐ。年上の彼女を前にしたときに垣間見せる無邪気さと、意を決して向き合おうとする時の凛々しさが同居する。その揺れ動く心情を、正門は丁寧にすくい上げるように演じており、これまでの作品では見せてこなかった表現の引き出しを感じさせる。彼自身が持つ穏やかで誠実な空気感が、役の説得力を一層深めている。

 このように三者三様ではあるが、共通点を挙げるとすれば、それぞれが演じている役柄が、一般的に想起されがちなクールで知的といった“青”のステレオタイプからは少し外れている点だろう。伊野尾はミステリアスかつ情緒的な役柄を、松田はコミカルで破天荒なキャラクターを、渡辺は親しみやすく、どこかドジな一面を、そして正門は恋に不器用なキャラクターをそれぞれ演じている。いずれも、いわゆる「青」のイメージに収まらない、多面的な人物像に挑戦しており、そこにこそ彼らの俳優としての魅力があると言える。

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