宮野真守が明かすコメディ演技の“こだわり” 大事にしているのは「“ふざけない”こと」

宮野真守が明かすコメディ演技の“こだわり”

 東川篤哉の人気小説『謎解きはディナーのあとで』が原作20周年を迎え、待望のテレビアニメ化。毒舌執事と令嬢刑事による名コンビが活躍する本作の中で独特の存在感を放っているのが、白いスーツを身にまとい現場に現れる“迷刑事”、国立署の警部・風祭京一郎だ。この風祭をアニメで演じるのは、声優・俳優として幅広いフィールドで活躍を続ける宮野真守。抜けているのにどこか憎めない、“やっかい”だけど愛らしいキャラクターを、宮野はどのように表現したのか。宝生麗子役の花澤香菜、影山役の梶裕貴との共演エピソードや、アニメ版ならではの演出の魅力、収録現場での秘話をたっぷりと語ってくれた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「実は、最初は影山役を狙っていたんです(笑)」

ーー『謎解きはディナーのあとで』のアニメ化が決まったと聞いた際の率直な感想を教えてください。

宮野真守(以下、宮野):実写ドラマ化もされた人気作が、時を経てアニメ化されるということで、とても面白い企画だなと思いました。

ーー実際に演じてみて感じた作品の魅力は?

宮野:アニメ版の構成がとても面白いなと感じました。1話完結のパターンが多い中で、本作では“1話半”くらいのペースで物語が展開していくんです。30分という限られた尺の中で事件をしっかり描くのはなかなか難しい。長すぎるとテンポが悪くなるし、短すぎると物足りない。その中間を取ったようなこの構成は、今までにあまりなかった試みじゃないかと思います。原作20周年という節目もあって、こうしたチャレンジができたのかもしれません。『謎解きはディナーのあとで』というブランドが長く愛されてきたからこそ、制作側にも「新しい形で見せたい」という思いがあったのではないかと。

ーーちなみに、風祭京一郎役を演じることになった経緯は?

宮野:実は、最初は影山役を狙っていたんです(笑)。風祭役もオーディションで受けていて、結果的に風祭役に決まりました。どうやら満場一致だったみたいです(笑)。影山を意識していたとはいえ、風祭にも自分としてしっくりくる部分があったので、「やっぱりな」と納得できました(笑)。

ーー風祭を「“やっかい”な人」とされつつも、「かわいげもあって憎めない人でもある」とコメントされていました。演じる際に意識していたポイントは?

宮野:彼って、仕事には真剣なんだけど、どこか抜けているところもあるんです。そのギャップが人間らしい“可愛さ”として見えるんじゃないかと思っていて。そういった彼の個性性をうまく表現できればなと思い臨みました。

ーー本作に限らず、コメディ色の強いキャラクターを演じる際に意識していることはありますか?

宮野:ある意味、“ふざけない”ことですね。全力でやる、それに尽きると思っています。もちろん、セリフの言い回しやトーンでコミカルな要素は出てきますが、本人がふざけているように聞こえないようにしたい。あくまでキャラクターとして自然に出るおかしさを大事にしています。物語の中で良いアクセントになるように、自分なりにアフレコで広げられる部分には積極的にチャレンジしました。テンションや芝居の空気感は、僕ならではのアプローチができたんじゃないかと思っています。

ーーなるほど。本作で印象に残っているセリフは?

宮野:彼は自己主張が強く、自己顕示欲もあるタイプなので、必要のない英語が突然入ってくるんですよ(笑)。知識や自信をひけらかすようなキャラなので、そういった英語表現も含め、個性的に演じられたらと思っていました。

ーー花澤香菜さんと梶裕貴さんとの共演はどうでしたか?

宮野:もう勝手知ったる仲になってるんですよね。すごく良いチームワークで、やっぱり2人はすごい役者だなと思う部分がアフレコ現場でたくさんありました。

ーー宮野さんがすごい熱量でアフレコされていたというお話をお聞きしました。

宮野:(笑)。風祭の個性を爆発させた結果、ずっと大声で主張してるキャラクターになっちゃって。梶くんは綺麗な涼しい顔をしてやってましたよ……(笑)。

ーーアフレコでの掛け合いを通じて、改めて感じた麗子と影山の魅力はありますか?

宮野:麗子は、やっぱり香菜ちゃんが演じているということが、最大の魅力だなと感じています。香菜ちゃんって、すごく品があるのに、どこか飾らない自然体な人じゃないですか。僕はそういう部分が本当に好きで。彼女が演じる麗子も、そんな香菜ちゃんの持つ魅力がにじみ出ていて、アプローチの仕方がとても面白いなと感じました。だからこそ、ハートフルなシーンで彼女の真っすぐさがふっと見えたときは、ぐっと心に響くんですよね。そういう意味でも、“香菜ちゃんが麗子を演じている”ということが、作品にとって大きな魅力だと思っています。

影山については、梶くんと一緒に現場でよく話していました。というのも、原作でも影山のバックグラウンドって実はそんなに描かれていなくて。麗子に対してどんな想いを抱いているのか、なぜ彼がここにいるのか……そういうことを僕たちキャスト自身が補っていく必要があったんです。そのプロセスを、梶くんと一緒に楽しみながら考えていったのが印象的でした。

ーー興味深いです。具体的にどういったやり取りを?

宮野:例えば、「本当は麗子のこと、こんな風に思ってるんじゃない?」みたいなことを、休憩時間やアフレコ待ちの合間に雑談しながら自然に交わしていて。「このセリフにはどんな裏があるんだろう?」って疑問を投げかけると、梶くんが独自の視点で答えてくれて、「ああ、なるほどなあ」と腑に落ちたりして。影山って、物語の中でも最も謎に包まれた存在なんですよね。だからこそ、僕たちも探りながら、考えながらセリフを紡いでいく。その中で生まれたニュアンスが、アニメの中にきっと息づいていると思います。些細なセリフのやり取りの中からでも、僕たちの込めた想いや、影山というキャラクターの奥行きを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

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