GW中にイッキ見間違いなし! ユ・ヨンソクの怪演に震えが止まらない『運の悪い日』

イッキ見間違いなしの韓ドラ『運の悪い日』

 GWに韓国ドラマを観るなら、スティーヴン・キング風のゾワッとするサスペンススリラーはいかがだろうか。

 4月18日にNetflixに新着した『運の悪い日』は、昨今激しい描写が増えている韓国ドラマの中でもかなり衝撃的な作品だ。残酷な描写が苦手な人にはあまりおすすめできないが、見応えがある作品であることも間違いない。観始めたら思わずイッキ見したくなるだろう。

 物語は、慎ましく善良なタクシー運転手が、連続殺人犯などとは知る由もなく、ある男を長距離客として乗せてしまったことから始まる。

 離別した家族にいいところを見せたくてどうしてもお金が必要だったタクシー運転手は、当初は上機嫌だった。2人はタクシーの中で次第に打ち解けるが、身の上話をするうちにふいに「人を殺すのは簡単」などと言い出す客を、タクシー運転手は訝しく思うようになる。

 やがて、タクシー運転手に命の危機を感じる出来事が起きるが、そこに息子を殺した犯人を捜す母親が現れ、想いも寄らない展開になっていく。

 原作は、人気ウェブトゥーン。『人質 韓国トップスター誘拐事件』の映画監督ピル・ガムソンが演出を手掛けたというだけあり、そこここに見せ場があるが、何といっても本作の大きな見どころはユ・ヨンソクだ。

 『その電話が鳴るとき』では、完璧主義の若き大統領室報道官役を熱演して人気を博したユ・ヨンソク。昨今は『賢い医師生活』の医師役や『愛と、利と』の銀行員役など、優しい役柄を演じるイメージが強い。筆者は一度インタビューで本人に会ったことがあるが、その際も自分のペースでゆったりと語る、穏やかな好青年という印象だった。

 そんなユ・ヨンソクが、痛みを感じないサイコパスの連続殺人犯クム・ヒョクスに成り切っている。

 “痛みを感じない”というのがポイントで、ヒョクスは恐怖という感覚を持っておらず、どんなことも平然とやってのける。不気味な笑みを浮かべながらタクシー運転手に残酷な言葉を投げかけ、猟奇的な殺人を犯していく。穏やかで優しいイメージなど吹っ飛ばすその豹変ぶりに驚くだろう。

 実はユ・ヨンソクは、かつては悪役もよく演じていた。興行が成功した映画出演作『建築学概論』『私のオオカミ少年』『ファイ 悪魔に育てられた少年』がすべて悪役だったため、悪役専門俳優と呼ばれていたこともある。

 だが、そのなかでも本作の悪役は史上最恐である。韓国ドラマ界でも稀に見る悪役だ。それを演じるユ・ヨンソクを見るだけでも、本作を観る価値がある。

 ちなみに原作のウェブトゥーンでは、カエルのような奇妙な容姿の男として描かれていたが、ドラマでは王子様のような見た目のユ・ヨンソクが演じた。こうしたサイコパス役は、まったくそうは見えない姿の人のほうがより強烈だと思うのは、筆者だけだろうか。
 
 最恐の悪役と闘うことになる平凡なタクシー運転手オ・テクを演じるのは、『財閥家の末息子~Reborn Rich~』で老猾な財閥会長役を演じたイ・ソンミン。韓国名俳優の1人で、“千の顔”をもつ俳優ともいわれるが、本作では家族と再び一緒に暮らすことを夢見る小市民に扮した。

 目がくぎ付けになるのは、そんなタクシー運転手を演じるイ・ソンミンと連続殺人犯を演じるユ・ヨンソクのタクシーの中での演技対決だ。

 「いや、まさか……」と思いつつ、ちょっとした会話や言動の端々にじわじわと感じる違和感。恐怖感が充満するタクシーという密室で繰り広げられる2人のやりとりが、あまりにリアルで、震えが止まらなくなるはず。

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