『鬼滅の刃』など映画興行の支柱となったアニメ総集編 “映画館で観る意義”を考える

また、映画館全体の観客数が伸び悩む中で、アニメ映画は依然として安定した動員を記録しており、業界内でも重要なコンテンツとして位置づけられている。なかでも、集客を後押しする施策として定着しているのが入場者特典だ。描き下ろしのポストカードやフィルム風のしおりなど、観に行った証が形として残ることで、鑑賞はコレクションや推し活の一部として意味を持つ。特典を揃えるために足を運ぶ“特典周回”もすっかり定着し、映画館に行くこと自体が応援のアクションになっている。
ただし、ランダム配布や週替わり特典といった形式には、複数回鑑賞を促しすぎるのではないかという声や、転売への懸念もあり、一定の課題も抱えている。しかし筆者としては、そうした作品や推しへの能動的な関わり方が、今の観客にとって自然なスタイルになっているのであれば、それはひとつの健全な消費のかたちだと感じている。特典付きのCDを買い揃えたり、ライブでペンライトを振ったりするように、映画館で同じ作品を繰り返し観ることもまた、その延長にある行動だ。好きな作品には、言葉ではなく行動で関わりたい。そんな思いと、「応援したいからこそきちんと対価を払いたい」という静かな誠意が、今の鑑賞スタイルの根底にはあるように思う。
『すずめの戸締まり』などアニメ映画の興行で定着した入場者特典 コストは億超え?
アニメ映画の興行ですっかり定着した入場者特典。近頃では、第5、6弾くらいまで特典を用意するのが当たり前になりつつある。 こう…さらに、映画館での体験そのものが、応援上映やライブビューイングといった近年定着したスタイルと重なっているという見方もある。アーティストのライブや舞台を映画館で楽しむスタイルは、観客同士が空間を共有し、場の熱気をともに味わう体験として広く支持されてきた。アニメの総集編上映も、ただ映像を観るだけでなく、「その場にいることに意味がある」という意識の中で、参加型のイベントとして機能し始めている。
総集編の劇場上映は、作品の魅力を改めて伝えるだけでなく、観る人の感情を呼び起こし、応援のスタイルを更新していく場でもある。「もう一度、作品をちゃんと観たい」「大きなスクリーンで推しを応援したい」。そんな思いがある限り、配信がいくら便利になっても、映画館で観るアニメの特別さは揺らがないのだろう。
■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』
7月18日(金)全国公開
キャスト:花江夏樹(竈門炭治郎役)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子役)、下野紘(我妻善逸役)、松岡禎丞(嘴平伊之助役)、上田麗奈(栗花落カナヲ役)、岡本信彦(不死川玄弥役)、櫻井孝宏(冨岡義勇役)、小西克幸(宇髄天元役)、河西健吾(時透無一郎役)、早見沙織(胡蝶しのぶ役)、花澤香菜(甘露寺蜜璃役)、鈴村健一(伊黒小芭内役)、関智一(不死川実弥役)、杉田智和(悲鳴嶼行冥役)
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:矢中勝、樺澤侑里
美術監修:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
総監督:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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公式サイト:https://kimetsu.com/anime/
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』公式サイト:https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/
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